夢ばかり見ていた。
尽きる事がなかった。
2人で、そんな話ばかり。
男の子だったら、
クリケットプレーヤーにするって
彼が言うので、笑ってた。
女の子だったら、
日本の名前がいいなって、私。
きっと彼に似て
背の高い美人さんになるねって。
つわりの中、
彼が工夫してくれた食事は、
たとえ喉を通らなくても
何倍も美味しかったの。
どんな些細な喜びも
何倍も嬉しかった。
産着は日本の物がいいなとか
離乳食用にグラインダー欲しいとか
赤ちゃんを最優先で
2人とも頑張って行くはずだった。
夢に見たあのちいちゃな手
もう動かない。
あの瞳に、もう出会えない。
夢ばかり見ていたから
今日どうやって過ごそう。
一緒に行くはずだった公園にも
モールにもマーケットにも
居場所がなくなっちゃった。
インドで夢見た私の居場所。
彼は泣かないでって言う。
私の最愛の人。
一緒にいるから大丈夫って
笑顔でいてくれる。
長い夢から覚めただけ。
2人きりに戻って
動けなかった分、動いて
できなかった事、して
諦めてた事、始めよう。
私たちのティニュは
インドと日本をつないでた。
まだ見ぬ夢を沢山くれた。
2人にはできなかった事
沢山沢山教えてくれた。
いっぱいの愛と
慈しみの気持ちと
愛おしさと
希望をくれた。
偶然出会っただけの2人を
パパとママにしてくれた。
あなたがいたから
強くなった、優しくなった。
だからパパの言うとおり
大丈夫って、笑顔でいよう。
あなたがくれた夢の様に
いっぱい笑って
いっぱい泣いて
何でも好きな事して
幸せでいるからね。
幸せを教えに来てくれたこと
ずっとずっと、忘れないからね。