ちょいドラ「尽くす女」 | 沖田峯子 人生をクリエイトする。

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日々思うこと、創作のこと、大好きな映画鑑賞などなど好きなことだけを自由に書き綴っています。

今さらながら、去年1月に放送されたNHKの「ちょいドラ」見ました。


https://www.nhk.or.jp/dsp/choidra/


たった10分のドラマなのに、「尽くす女」泣けました……えーん

 

 

↓ネタばれあり。感想&あらすじ。


ばーちー(千葉雄大さん)の役どころ、一己。ふわっとしたようなどこか頼りない男性。母親に無理を言われて心理カウンセラーのところへ訪れたんだろうという冒頭。


カウンセラー役の優香が、また優しい口調で語りかけてくれるんだ。

 

妻も子供もいる一己はトランスジェンダー(性同一障害)を理由に離婚を申し立てられていると話す。自分に自信がなく、相手に必要とされたいという思いから妻に依存していたと。

 

私も知らなかったですけど、性同一障害って心と体の性が違っていても必ずしも同性が恋愛対象になるとは限らず、異性を好きになることはあるんだそうですね。

 

人間の心は単純ではないのです(と、後のシーンで一己の母親も言います)。

 


カウンセラーの先生はひと通り話を聞いた後、一己の意志を確認します。

 


先生「あなたはどうしたいの?奥さんと離婚したい?」

 

一己「え?」

 

 

おそらく、一己が人生で初めて言われた言葉なんだと思う。彼は聞かれている意味も分からなかった。

 


あなたはどうしたいの?

 


この言葉って、なかなか言われる状況って少ないと思う。私も、たぶん一度もない。

 


みんなそうしてる。

みんなそう思ってる。

普通はこうする。

普通はそうするべき。

 


こういう言葉はちょくちょく言われるのにね。


カウンセリングを続けるなか、優しい先生に肯定されていくうちに、どんどん表情が明るくなっていく一己。

 


一己「この世界って自分がどうしたいとか、何をしたいかっていうのは言ってもいいんですか?自分の気持ち、言ってもいいんですか?」

 

先生「いいんですよ。自分の気持ちを言ってもいいんですよ!」

 


この後、自分の閉じ込めていた思いを次から次へと言葉にしていく一己。


ばーちーの演技がとてもよくて、真に迫ってました。奥さんのことは人間としても大好きで、その気持ちに嘘はないことがとても伝わって来たし、自分の気持ちを打ち明けていくこのシーンは鳥肌立ちました。この役は彼にしかできないと思う。


泣けた………えーん


ここで掛かった音楽もよかった。

 


なんかすごい共感しました……。

 

私もやりたいことや自分の気持ちを言ってはいけないと思ってました。どうせ否定される。どうせ私の生きる圏内では無理だと諦めて。なので、やりたいことではなく、やりたいことから遠回りに別のことをして「いつかきっと」と思いながら過ごしていました。

 


みんな進学してるから。みんな大学に行くから。みんな就職するから。みんな結婚するから。

 


いつも疑問でいっぱいでした。

 

 

 


このドラマ、たった10分なのに沢山のメッセージが凝縮されている。

 

男は男らしく、女は女らしく。右にならえと教育されてきた日本人の心に強く響くドラマではないでしょうか。