宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ) -8ページ目

宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ)

70年代や、あの時代に輝いていたアレやコレや。
クリエイティブディレクターが語る、「思い出のエッセイ」です。

失恋レストラン

今年も、芸能界は忙しそうだ。不倫に、引退に、薬物に、芸能記者は走り回る。不倫や引退はどうぞご勝手にだけれど、薬物となると周囲にもキケンが及ぶから危ないし、怖い。そこで思い出してしまうのが、この人。1976年に写真のレコジャケ「失恋レストラン」でデビュー、一躍人気スターに躍り出た清水健太郎である。ばく進のスター街道も、8回の逮捕歴となると、もう暴走のひと言しかない。かく言う私、当時は街角で間違えられたこともあるくらい、似ているとよく言われた。それゆえか、なんだかあの頃を振り返ると余計に切ない。ただ、辛い失恋を経験した時、街に流れるこの曲で救われたのも事実だった。♪ねぇマスター、ラストオーダーは失恋までのフルコース♪と歌うサビなんて、なかなかグッとくる。作曲はもちろん作詞を手掛けたのも、あの名曲「メリー・ジェーン」のつのだ☆ひろ。あの顔で、こんな詞を書くなんて、見かけによらずきっとロマンチストなんだろう。歌詞の中にはさらに、こんな一節もある。♪愛を無くした手品師などは、恋の魔術を使えない・・♪ いい曲なのに残念ながら清水健太郎の場合は、" 自分を亡くした歌い手などは、二度と歌を歌えない "ということになる。「失恋」なら歌になるけれど、「失態レストラン」では、もはや歌にはならないのだ。

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中年スーパーマン

2017年の開幕だ。今年も昭和の四方山話に、お付き合い願いたい。さっそく紹介する写真のマンガは、40年前の1977年「漫画アクション」に連載された作品。藤子不二雄の「中年スーパーマン左江内氏」である。主人公のサラリーマン左江内氏が、ひょんなことからスーパーマンの力を持ってしまうという所からスタート。実に冴えない中年男が、ヒラリと宙を飛んで悪漢を駆逐する・・という夢のようなストーリーかと思えばそーではない。当時まだ10代だった私は、その情けなさを笑い飛ばしていたけれど、ホントの中年になった今 読み返してみるとあ〜 切ない。思えば、1977年は日本人の平均寿命が世界一になった年。男が約73歳で女が約78歳だった。寿命が延びれば、その分 働く年齢も延びる。中年サラリーマンの悲哀はそこにあったのだ。そして2017年の今、寿命は男が約81歳で女は約87歳。40年前より10歳近く延びたとなると、中年サラリーマンの期間はさらに長くなる。いやもはや、老年サラリーマン時代の幕開けかもしれない。で、このマンガが実写でドラマ化される。1月14日から「スーパーサラリーマン左江内氏」というタイトルで始まる。果たして、どんな中年っぷりが披露されるか。左江内氏とだぶる自分をどこまで笑えるか、そんな初笑いもいいだろう。

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キングギドラ

東京オリンピックが開催された52年前の1964年、正確には12月20日に写真の映画が公開された。「三大怪獣 地球最大の決戦」である。三大怪獣とはご存知 ゴジラ、モスラ、ラドン。この地球の三怪獣が力を合わせて、宇宙怪獣と対決するというストーリーなのだ。キングギドラという三つ首竜の恐ろしい姿に驚いたのはもちろんだけれど、もっと驚いたのはゴジラが地球の味方になったということだった。思うに、この時からゴジラはなんとなく正義になっていった。そのうち、愛嬌のある子供(ミニラ)が生まれたり、シェーまでしたりで、ゴジラは人間のペットに成り下がっていく。人気というのは怖い。万人に受け入れられてしまうと、存在価値さえ無くなってしまうということを、当時のゴジラを見て私は学んだ。みんなに好かれたら、あとは媚びを売るしかなくなる。同情しながらも、ゴジラはいい反面教師だった。平成の時代に入ってから、再びゴジラは怖い表情を取り戻し、少しずつ人間に対峙していく。1954年の登場から62年を経て、ようやく「シン・ゴジラ」で元の姿に戻ったようだ。原爆や核の存在が、地球の味方であるはずがない。ゴジラは正義ではない。いつまでも、私たちに恐怖を忘れさせない教訓であり続けるべきだ。あの映画でザ・ピーナッツが歌っていた「幸せを呼ぼう」に、♪幸せよ、なぜ泣くの♪という一節がある。平和が破壊される悲しみを巧みに表現していると、今さらながら思う私ではあった。

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