ベスパで時を駆けぬけた松田優作と、「探偵物語」。 | 宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ)

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70年代や、あの時代に輝いていたアレやコレや。
クリエイティブディレクターが語る、「思い出のエッセイ」です。

探偵物語

♪Bad city、bad bad city、fat city bad ♪というSHOGUNのオープニング曲で憶えている人も多いだろう。1979年9月の火曜夜9時に、あの名作ドラマ「探偵物語」はスタートした。写真は、その当時の番宣用ポスターである。それまでの松田優作と言えば、「太陽にほえろ!」のジーパン刑事にしろ、映画「蘇える金狼」にしろ、クールで男くさい印象だったけれど、この作品をキッカケにコミカルな魅力が全面に出てきたような気がする。ポスターの、キャメルをくゆらす渋い表情から察すると、当初はハードボイルドが売りだったのかもしれない。なのに、ドラマの途中あたりからアドリブがどんどん増えていき、コメディタッチに変化していく所が松田優作らしい。特に私が好きだったのは、愛車のベスパ。かつて「ローマの休日」でヘップバーンを乗せて二人が市内を走った、あのベスパがふんだんに登場する。御多分に漏れず、私もすっかり憧れてベスパに乗ろうとしたけれど、その値段の高さに驚いた。その時初めて、そうかイタリア製だったんだと気づいて、国産(ホンダ)のスクーターにしたのを憶えている。その時買ったスクーターが壊れたのが1989年、不思議なことに松田優作の逝去と時を重ねた。ベスパで走る人を見かけると、今でもそこに、探偵の工藤ちゃんを見つけようとする私がいるのだ。

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