日活の怪獣映画「大巨獣ガッパ」を観ると、なぜか哀しい。 | 宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ)

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70年代や、あの時代に輝いていたアレやコレや。
クリエイティブディレクターが語る、「思い出のエッセイ」です。

ガッパ

それは1967年だった。日活が初めて挑んだ怪獣映画が、写真の「大巨獣ガッパ」なのだ。東映や東宝、大映などに大きく遅れて登場した「ガッパ」は、当時まだ小学生だった私の目にもどこか冴えない印象だった。日活といえば、石原裕次郎や小林旭、浅丘ルリ子など、アクション映画のスターが勢揃いというイメージだったけれど、時代の波には逆らえなかったのだろう。プライドを捨て、怪獣ブームに迎合したのかもしれない。主演には若手のホープだった川地民夫を起用。激闘ばかりの他の怪獣映画とは一線を画し、今観てもどこかしっとりした悲哀を伴う内容である。面白いのは、ガッパというネーミング。東宝のゴジラは、クジラとゴリラを足して命名、大映のガメラは巨大なカメを原型にしている。動物をモチーフにした怪獣は多いけれど、河童という架空の生物 ? を原型にしたところが、なんとも不思議だ。存在も、生態もわからない生物 ? をさらに架空の怪獣に仕立て上げたのだから、もう謎だらけ。どこに棲んで、どこに帰るのか、頭にお皿はあるのか、まさか主食はキューリなのか ? いろいろと妄想がふくらむ映画ではあったけれど、残念ながら続編はなかった。1971年、日活が新しい路線「ロマンポルノ」を開花させるまでの、切なくもはかないヒーローだったのだ。

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