
だんだん日暮れが早くなる。するとなんだか、郷愁を誘うような、こんな曲が聴きたくなる。写真のレコジャケは、1979年にイルカが歌った「海岸通」。実は春にリリースされた曲で、少女が大人に変わる季節の歌だったのだろう。歌詞が切ない。♪あなたが船を選んだのは 私への思いやりだったのでしょうか 別れのテープは切れるものだとなぜ 気づかなかったのでしょうか・・・♪ いつも思うことだけれど、誰にも経験があるようで、こういう歌詞は永遠だ。出会いは別れの始まり。私は、この曲がヒットした79年に社会に出た。それまで、好きなことだけに熱中していた子供のような青年が、なんとなく就職をして。そうなると学生時代の交流は薄くなり、次第に消えていった。「海岸通」を初めて聴いたのは、もらった給料で買った当時新発売のウォークマン。その曲をテープに録音して送ってくれたのは、学生時代いちばん仲のよかった彼女だった。今となっては、何もわからないし、何の意味もなかったのかもしれない。ただ、人はこういう曲を聴くたび、自分のことのように思ってしまう。35年ぶりの同窓会で、幸せそうな彼女に再会したけれど、そんな話ができるはずもない。あの時のカセットテープはもうないし、ウォークマンだってどこかに消えた。なのに、イルカのハスキーな歌声だけが、心のどっかに今もジーンと響いてくる。

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