
70年代に「少年マガジン」をよく読んでいた人なら、記憶に残っているだろう。「愛と誠」というマンガを。原作の梶原一騎自らが純愛ロマンと呼んでいたほど、当時の小中学生には熱過ぎるストーリーではあったけれど、それだけに人気も加熱し映画化された。その準主役「岩清水弘」という秀才役を演じたのが、写真のレコジャケ「涙のジャーニー」を歌う仲雅美である。好青年という存在感で、一時代を席巻した今でいうイケメンアイドルの一人だった。71年のTBSドラマ 木下恵介シリーズ「冬の雲」の出演をキッカケに人気は急上昇、さらに挿入歌まで歌い、その「ポーリュシカ・ポーレ」も大ヒット。少し陰のある、それでいて優しい感じは、昭和のあの頃にピッタリとフィットしていたのかもしれない。73年、映画「同棲時代」ではイラストレーター志望の主役 次郎を好演、相手役は由美かおるだった。続く「しなの川」でも由美かおると共演し、聡明にして退廃、繊細にして愚直な印象が、仲雅美のスタイルとして定着したのだろう。74年、先述の「愛と誠」の岩清水 弘。その映画で、ヒロインの早乙女愛に向かって発する台詞が、今も私の中にずっと生き続けている。「岩清水弘は、君のためなら死ねる」。愛する人のために、その台詞を使う日が来るのか・・と抱き続けたけれど、そんな日は決して来なかった。ただ、初恋やあの頃の純愛を思い返すとき、仲雅美の姿と一緒に、この台詞がいつも、私の前に立ち現れるのだ。

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