
タンゴと言えば、アルゼンチンあたりの男と女の妖艶な舞踏曲・・というイメージだけれど、私の中でいちばんのタンゴは、おそらくこの曲だろう。写真のレコジャケ「黒ネコのタンゴ」は、1969年に皆川おさむ君が歌って一躍スターになった大ヒット曲。タンゴをなんと子どもに歌わせる、今で言えば「タンゴと子どものコラボ」というところが実にアイディア賞だったのだ。当時は、複雑な表情や難しいセリフを小さな子どもがスンナリやってのける、ということが一種のブームだったのかもしれない。♪キミはかわいい僕の黒ネコ 赤いリボンがよく似合うよ だけど時々ツメを出して僕の心を悩ませる 黒ネコのタンゴ タンゴ タンゴ 僕の恋人は黒いネコ・・♪ 大人でも歌えそうなこんな魅力的な歌詞を、6歳の子どもが歌うから、愛らしい。けれど、どこか背伸びしていた感もある。皆川おさむ君は別としても、そんな時代の申し子だった杉田かおるや坂上忍が、いくつになってもどこかひねくれて見えるのも、そうした時代の要請から生まれていたとすると、それはそれで仕方ない。あの頃、「黒ネコのタンゴ」は、端午の節句に関係があると思っていた私なんかは、ただただ実に幼稚な子どもではあったけれど・・。
