
♪おまえなら どう生きる 閉ざされた明日を・・オレはワル、ワル、ワルがなぜ悪い♪ 写真のレコジャケは、1973年に東映系で公開された映画「非情学園ワル」のテーマ曲。歌っているのは尾藤イサオだけれど、マイナー過ぎて知っている人は少ないだろう。もともと少年マガジンに連載されていたマンガ「ワル」が実写で映画化され、主人公を谷隼人が熱演した。風の噂で、原作者である真樹日佐夫の自伝だと聞いて、恐れおののきながらマンガを読みふけっていた憶えがある。なぜなら、それまで読んだマンガの中でも飛び抜けて残忍な主人公だったからだ。学ランの背中に仕込まれた木刀を、「一体どうやって抜くんだろう?」と思いながらも、なぜかそのニヒリズムに当時は憧れた。高度経済成長が叫ばれ、輝くばかりの未来に浸っていた時代に、あんなにもダーティな存在感。光には必ず影があることを、主人公の氷室洋二は叫んでいたのかもしれない。「不良」と書いてワルと読んだのは、きっとこの頃からだろう。真樹日佐夫と言えば、スポ根マンガの生みの親 梶原一騎の実弟として有名だけれど、私の中ではむしろ「ワル」のモデルとしての存在の方が、今でも大きい。
