
高校時代を神戸で過ごした。住んでいた街からは大阪の方が近かったのに、どうして神戸を選んだのか? 理由はカンタン、憧れていたからである。そもそもは、1967年放送開始の「ウルトラセブン」にさかのぼる。第14話「ウルトラ警備隊・西へ」の舞台となった神戸の街に、小学校低学年の私はすっかり心酔してしまったのだ。六甲山に出現したスーパーロボットとの死闘は2週に続き、本当ならセブンの危機にドキドキするはずだけれど、神戸の街に夢中だった。クールに響く機械音とともに、最期は神戸港の海底に沈んでいくロボットの悲哀。そこに、何故か都会性を感じてしまったのだから、始末が悪い・・。15歳の冬、どこかに閉まいこんでいた神戸への憧れが突如甦ったのだろう。どんなドラマも、舞台の中心は東京。どんなヒーローも、東京で活躍する。たまに出てくる関西は、変な大阪弁だったり、妙に関西的だったりして子供心にガッカリした。しかし、セブンで描かれた神戸の街は、限りなく美的だった。東京に対するコンプレックスが、ただ子供の目にそう映させただけかもしれない。後にキングジョーという名前だったと気づいたけれど、私には神戸のロボットという呼び方の方が、ずっとしっくり馴染んでいた。
