
「マグマ大使」が1965年から少年画報(マンガ雑誌)に連載されていたということを知ったのは、ずっと後のことだった。手塚作品だということも知らず、66年にTV放送された実写版をただただ夢中で観ていた。放送がウルトラマンと同時期だったので、人気を競っていたのも事実だったけれど、どこかチープな怪獣と戦う黄金のマグマ大使は強いというよりも、優しさが滲み出ていたような気がする。妻がいて、息子がいるロケット人間という設定が、なんだかとてもヒューマンだった。今思うと、ロケット人間こそ、トランスフォーマーの先駆けだったのかもしれない。手塚治虫は凄い。マグマ大使の息子の名は「ガム」。♪ピロロロピー♪ と、机の引き出しの奥に入っていたホイッスルを1回吹いて、ガムを呼ぶ。もちろん、私が呼んでも来ることはない。それだけに、いつでも呼び出せる江木俊夫扮する「まもるくん」が実に羨ましかった。♪宇宙のチビッコ、ガム、ガム♪と声高らかに歌っていたけれど、それが提供スポンサー「ロッテ」の宣伝になっていたとは、当時の私にわかるはずもなかった。
