ポップスという響きに酔った、本郷直樹がいた季節。 | 宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ)

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70年代や、あの時代に輝いていたアレやコレや。
クリエイティブディレクターが語る、「思い出のエッセイ」です。

$昭和を話そう、BOSSのブログ。-朝の恋人

新春第2弾は、前回ブログの南沙織と同じ、1971年デビュー組の本郷直樹。「燃える恋人」という曲を引っさげて華々しく登場した。横顔が似ているところからか、和製プレスリーと呼ばれ、もみあげや白いパンタロン姿も印象的だった。写真は約1年後の72年、4曲目「朝の恋人」のレコジャケ。ご覧の通り、この頃からはブレスリーの印象がやや影をひそめている。♪ 雨降る朝 さみしい朝 ホームにたたずみ線路を見つめてた 君はどこの人 ? ♪という歌詞にも、どこかナイーヴな青年の香りさえする。これ以前の作詞が阿久悠だったのに対し、この曲は何故かなかにし礼が書いている。阿久悠の恋のプレスリー路線が成功していただけに、この大きな転換には何か理由があるはずだと推測したのは私だけだろうか。そして、本郷直樹はTVドラマ「アイちゃんが行く!」で、まだ少女だった坂口良子の相手役として出演。徐々に俳優へと転身していった。ブレスリー路線から脱したのはこういうことだったのか・・と納得したけれど、歌謡曲というジャンル(表現)しかなかったあの時代に、本格的なポップスシンガーが登場したと思えた喜びは、今でもよく憶えている。日本のポップス。もしかすると、それが阿久悠の狙いだったのかもしれない。

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