
♪この広い空の下で 二人めぐり逢えてよかった 初恋いろの季節の中で キミにあげよう ひとつぶの涙♪と、森田健作が声をはりあげて歌ったのは、1973年の「青春のバラード ひとつぶの涙」。写真の通り、グリコアーモンドチョコレートのCMに使われた曲だ。まさに、絶頂期だった。何が? と聞かれれば、「青春」と答えるしかないだろう。1971年、森田健作・早瀬久美共演のドラマ「おれは男だ!」の人気で、その時代の男子はモリケンカット、口をつく言葉は「吉川くーん」となった。主題歌「さらば涙と言おう」は大ヒットし、歌手としてもモリケンは売れた。72年には「青春をつっ走れ」、73年には「おこれ! 男だ」と人気ドラマが続き、青春街道をひた走っていたそんな頃、このグリコのCMは流れた。ひと粒のチョコレートにひっ掛けた「ひとつぶの青春」というコピーを見ていると、青春という言葉が輝いていたあの季節に、私たちは何かを無くした様な気がしてくる。海に叫んだり、夕陽に向かって走ったり、そんな光景が恥ずかしくなかったのは何故だろう? 青春という言葉さえ、もう死語に近いけれど、本当に死んでしまっているのは、一生懸命な姿勢なのかもしれない。そんなことを千葉県知事、いや森田健作を思うと、なぜかふと感じてしまう。
