「ドラゴン」を観た帰り道、誰もが超人だった。 | 宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ)

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70年代や、あの時代に輝いていたアレやコレや。
クリエイティブディレクターが語る、「思い出のエッセイ」です。

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そのブームは突然訪れた。1973年秋、極真空手の通信教育を受けていた友達が言った「ドラゴン知ってるか?」。私はもちろん怪獣のことだと思い、「東宝か?」と聞き返した。「いや香港だ」とニヤリと笑った友達の横顔が、その時やけに年上に見えた。そうして12月、写真の映画「燃えよドラゴン」は公開され、どの劇場にも長蛇の列を作った。観た者たちは、異口同音に「凄すぎる・・」。それはまさに、超人の映画なのだと。あまりの人気で機会を逃し、私はロードショーでは観られなかった。空手映画はさらに熱を帯び、翌年も香港空手ブームは続いた。ようやく観ることが出来たのは、「吠えろ!ドラゴン、起て!ジャガー」という映画だったが、ブルース・リーとは全く関係無かった。次に観た映画が千葉真一の「激突! 殺人拳」。今となってはただのアクション映画に過ぎないけれど、ブームの波は恐ろしい。すっかり興奮していたのだ。ブルース・リーと千葉真一はどっちが強いか、なんてくだらない論争は繰り返された。そしてついに、地元の映画館でも「燃えよドラゴン」が公開され、私の口は閉じることを忘れてしまった。「凄すぎる・・・」半年遅れで同じ言葉を口から漏らした私は、その帰り道、ヌンチャクを買うことだけは心に決めていた。

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