
ドイツ車やワンボックスカーがまだ少なかった70年代、憧れの車はたいてい決まっていた。その代表が、スカイラインだ。勿論、学生に手が出る車ではない。「羊の皮をかぶった狼」と呼ばれた程、その走りの性能は抜群だった。それが、1972年「ケンとメリーのスカイライン」というコピーで4代目が登場。ぶっ飛んだ。車の新しいデザインもだけど、そのCMに驚いた。写真のレコジャケが、その時のCMソングで、BUZZ(バズ)が歌った「愛と風のように」。♪スプーンとカップをバッグにつめて 今が通り過ぎていく前に、道の向こうへ出かけよう 今が通り過ぎていく前に♪ そしてCMでは最後に ♪愛のスカイライン~ ♪と続いた。驚いたのは、エンジンガンガンの、GTRという高性能マシンを、「愛のスカイライン」と呼んだからだ。その年、車で旅に出る若者が急増し、長距離に強いスカイラインは、飛ぶように売れた。彼女を乗せて走りたい車、スカイラインはこうしてイメージを変えた。愛と風のように、私も走りたかったけれど、まだ免許も持ってなかったので、代わりにこのレコードを買った。透き通るような愛が、今聴いても響いてくる。