
たぶん70年代の終わり頃、「あさひが丘の大統領」というドラマの主題歌だった。ドラマ自体はあまり憶えていないし、観てもいなかったのだけど、この歌が好きだった。♪地図にない道を走って行くんだ、心のすり傷は 承知の上だよ。右手に抱えた 魂のボールを、新しい空深く 蹴り上げてやるのさ・・♪小出正則というあまり知らない歌手だけど、作曲は吉田拓郎。道理で曲が頭から離れないはずだ。今、こんなに不透明なこの時代に、「新しい空」という言葉に心が動いた。地震におののき、原発で小さくなっている心に、新しい空を見る勇気があるかと問われているような気がした。何度も言う様に、このドラマの記憶はない。宮内淳、片平なぎさ主演の学園ドラマで、脚本は若き日の鎌田敏夫だという。いつのまにか私の中にも、新しい空は遠い日の記憶の彼方に消えている。♪ヘッドホーンでふさぎ続けた 耳には風切る音さえ 美しい ♪ もう一度、私たちは新しい空を見ることができるだろうか。地図にない道を走って行くことができるだろうか。70年代の歌を聴いて、今、深く大きく呼吸する。