
今年「あしたのジョー」が映画で復活する。我々世代には嬉しいことだけど、あの繊細で華麗な世界がどこまで再現できるのだろう。 あしたのジョーは70年にも一度映画化されている。その時はジョーを石橋正次が演じた。ボクシングのセンスもあり、背丈や筋肉や暗さもピッタリだったけれど、当時の映画技術ではボクシングの迫力は出せなかった。今回のジョーはやまぴーで、白木葉子は香里奈。うーん、ビミョーだ。ジョーと言えば、KC(講談社コミックス)の第14巻、P89からの紀ちゃん(林紀子)との散歩のシーンが秀逸で、この孤独感、儚さがあるからこそ、「真っ白な灰」のラストシーンが生きてくる。もし、こんなシーンが映画で描ければ大したものだが、人間「矢吹丈」を追うことは、ムリかもなあ。そして清廉にして冷徹な、超お嬢様役を香里奈ができるのか? それよりも、映画に紀ちゃんは出てくるのだろうか? 散歩のシーンのP94でジョーに差し出す「トマト入りのサンドイッチ」が、私は忘れられない。