『ロスト・ボディ』

El cuerpo

 

2012年 スペイン [111分]

監督:オリオル・パウロ

脚本:オリオル・パウロ/ララ・センディム

製作:ホアキン・パドロ/マル・タルガローナ/メルセデセ・ガメロ/ミケル・レヤルサ

音楽:セルヒオ・モウレ・デ・オテイサ

撮影:オスカル・ファウラ

編集:ホアン・マネル・ビラセカ

キャスト:ベレン・ルエダ/ウーゴ・シルバ/ホセ・コロナド/ アウラ・ガリード 他

 

[解説]

「ロスト・アイズ」の脚本家オリオル・パウロが監督/脚本を手がけ、死体安置所から謎の失踪を遂げた死体をめぐる謎を描いたスペイン産ホラー。ある晩、パニック状態となった死体安置所の警備員がトラックに轢かれて死亡する。その死体安置所では、マイカという女性の死体が行方不明になっていた。死体失踪事件の捜査に乗り出したハイメ警部は、マイカの夫アレックスと接触を図るが……。出演は「永遠のこどもたち」のベレン・ルエダほか。「シッチェス映画祭ファンタスティックセレクション2013」にて上映。

 

 これはよく出来すぎているのが鼻につくかもしれないクライムサスペンスですが、よく出来ているので矛盾点、疑問もバカになりきって浸るのが得策でしょう、悔しいな〜〜。スペインミステリーとしてはちょっと評価の高い『インビジブル・ゲストー悪魔の証明ー』の監督さんだから油断はできないわけです。

 本作では殺人犯とその手口と理由など語ってから本題に入って行くように見せつつ、その裏の設定があるという入り組んだ事情で煙に巻きます。仕掛け人がいてその犯罪の全貌を予め知った上で、追い詰めてゆくちょっとした狂気が肝です。

 実際に畳み掛けるように起こる死体喪失事件はわずか一日のことなのですが、それよりずっと長く感じるのは十年がかりの罠の時間軸のせいです。

 平たくいうと、全て(娘エヴァの青春さえも)犠牲にしての自警団活動に入れ込む、イカれたハイメ警部のお話です。

 

●登場人物

ハイメ♂:警部

エヴァ♀:娘/事故で母を失う

マイカ・ビジャベルデ♀:製薬会社オーナー/タカビー

アレックス♂:マイカが子飼いにしている夫

カルラ♀:アレックスの愛人/じつは…

タピア博士:監察医

パトリシア♀:架空の登場人物

 

 どこかで観たストーリーだなと思ったらこちらがオリジナルで、韓国で『死体が消えた夜』としてリメイクされていますね。

 韓国の映画作家というか、日常の虚偽の度合いが大きく、騙すことに長けた韓国のリメイクが成功したのもうなづけます。どちらが良いかは、お好みでどうぞ。