デジカメやスマホで撮った写真データには「Exif」データが埋め込まれています。
Exifデータは、撮影日時やカメラ名、シャッター速度などの撮影情報、GPS付きカメラであれば位置情報も記録されています。
この Exifデータがあるため、大量にある写真を整理したり編集したり便利に扱うことができます。

Exifデータ」記事をアップしたときは「デジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマット規格 Exif 2.31」でしたが、2023年5月に「デジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマット規格 Exif 3.0」改訂版が発行され、昨年の暮れに訂正されました。

Exif 3.0 規格書はコチラから閲覧・ダウンロードできます。
また、改訂の概要について、コチラから閲覧・ダウンロードできます。

規格書自体は長文にわたるので、お時間あるときにその内容に触れてみるとよろしいかと思いますが、改訂の概要あるいはその他の関連記事を参照してみると Exif 3.0 の主な改定内容はおおよそ以下のようになります。

(1) Exif独自のタグタイプとして、UTF-8型を追加した
既存のASCII型タグにおいて、UTF-8の文字列も選択可能にした

(2) アノテーション(注釈)記述を追加
従来のExif撮像情報に加えて、画像中に複数の対象物があるとき、複数のアノテーションを対象領域とともに格納可能とした(下図)

(図は、上記改訂の概要から)

(3) 真正性(Authenticity)証明に資する画像及びメタデータを一体的に記録可能とする
撮影シーンを記録し、後段まで保持する「オリジナル保持用画像」を追加した(下図)

(図は、上記改訂の概要から)

これ以外にもありますが、特に上記(2) (3)は AI時代への対応と言えるでしょう。
AIで画像認識を行って利用するシーンが増えていますが、画像中に複数の対象物(被写体)が写り込んでいる場合、それらに適切なアノテーション(注釈)情報が付与されていることが望ましいです。
従来は、画像とアノテーションは別々のファイルとして管理されていました。
そのため、写真をコピーや移動などの操作をしたとき、アノテーションが上手く受け渡されないということも起きます。

また、写真を後処理工程(編集)することはよく行われますが、特に AI技術によりその一部を大きく修正することが可能となりました。
でも、ときには作者が意図しない編集もでき、オリジナル保持用画像を併せて保持することで元の画像データが引き継がれていく仕組みが重要となるシーンが出てきました。

これらに対応するため、APP11マーカが定義されたわけですが、Exif 3.0以前の仕様に基づくカメラやスマホも数多く現存しますので、一気に Exif 3.0に従うこともできません。
でも、時代と技術の進化に対応しそのガイドラインを策定したことは評価できます。