Wordには、「Word 変更履歴を記録」記事でご紹介したように「変更履歴」機能があります。
これを使えば、その文書について自分または共同編集者がどのように変更を加えているかが履歴として表示され、変更履歴を辿っていくことも容易にできます。

ところが、Excelではそのような機能があることをあまり知られていませんね。
探してみると、[校閲]-[変更内容]-[変更内容を表示]ボタンがあります。(下図)

 

でも、グレイアウトされていて利用できませんね。

さらに、[ファイル]-[情報]-[バージョン履歴]をクリックすると、履歴を追うことができそうです。
ただし、タイトルバーの左端にある「自動保存」スイッチがオンであればこの機能が使えるのですが、オフ、つまりローカルPCに保存しているときは、[バージョン履歴]をクリックすると「バージョン履歴を有効にしますか?」と問われ、ブックを OneDrive上に保存するよう誘導されます。

どうやら OneDrive上に保存した Excelブックなら変更履歴を辿ることが出来そうです。
というわけで、まず、Web版 Excelを開いてその様子を見てみます。

(1) Web版 Excelの変更履歴

OneDrive上にある Excelブックを開き、メニューの [校閲]-[変更点と履歴]をクリックします。
ここには「変更箇所の表示」「バージョン履歴」のサブメニューがあります。(下図)

 

「変更箇所の表示」をクリックすると、画面右側に「変更」と書かれた変更箇所のリスト表示が出てきます。(下図)

 

このリストには、当該ブックにおける個々の入力・編集内容が日時と共に記録されています。
リスト中の 1つをクリックすると、シート上のその編集箇所が表示されます。

リストの最上部にある「作業中のブック」と表示されている左側のプルダウンメニューでは「範囲」「シート」で対象とする部分を絞り込むことができます。(下図)

 

「範囲」をクリックすると、「フィルターする範囲を選択」という表記に替わります。
特定シートの特定セル範囲をドラッグ操作などして指定し、その右端に現れる「→」をクリックすると、その範囲に対して行われた編集内容がリスト表示されます。
また、「シート」をクリックすると、ブックの中の特定シートを選択でき、そのシートにおける編集内容がリスト表示されます。

サブメニュー「バージョン履歴」をクリックすると、右側にバージョン履歴がリスト表示されます。(下図)

 

ここでは、日にちごとに変更履歴が表示され、各リストの左端にある「>」をクリックするとその日における編集箇所がブロック表示されます。
そして、そのうちの 1つをクリックすると、シート上の編集箇所が表示されます。

このように、Web版 Excelでは変更履歴をかなり詳細に追跡することができます。

(2) ローカル版 Excelの変更履歴

実は、Wordの変更履歴機能のようなものが Excelにも備わっています。
Excel2016バージョン以降に「変更履歴の記録」ボタンは非表示となってしまいましたが、以下のようにして表示させることができます。

[ファイル]-[オプション]-[リボンのユーザー設定]を開き、「コマンドの選択」で「リボンにないコマンド」を選択し、「変更履歴の記録(レガシー)」を選択します。
右側画面では「校閲」を選択し、「新しいグループ」をクリックしてから中央の「追加」ボタンを押すと、「新しいグループ(ユーザー設定)」の中に「変更履歴の記録(レガシー)」が追加されます。(下図)

 

これで「OK」すると、[校閲]タブに「変更履歴の記録(レガシー)」ボタンが現れます。(下図)

 

このメニューから「変更箇所の表示」をクリックすると、「変更箇所の表示」ダイアログが現れます。(下図)

 

この中の「編集中に変更箇所を記録する(ブックを共有する)」にチェックを入れると、「変更日」「変更箇所を画面に表示する」にチェックが入ります。
もちろん、必要に応じてこれらの指定項目は変更して構いません。
「OK」すると、「この操作を行うと、ブックはいったん保存されます。よろしいですか?」とのメッセージが現れますので「OK」します。

それでは、試しにシートの内容を変更してみます。
「津川 ひろ子」と入力されているセルを選択し「津川 弘子」と変更してみます。
すると、そのセルの左上に小さな三角マークが付きます。
このセル上にマウスポインタを合わせると変更内容が日時とともに表示されます。(下図)

 

複数箇所に変更を加えていって構いませんが、この変更履歴の記録を停止するボタンがありません。
記録を停止するには、改めて「変更箇所の表示」をクリックし、「編集中に変更箇所を記録する(ブックを共有する)」のチェックを外します。
ただし、こうしてチェックを外すと、変更履歴の記録は削除すべて削除されてしまいます。
なので、以降も記録は残しておきたいときは、単に上書き保存して Excelを閉じます。

なお、「変更箇所の表示」ダイアログの最下部にある「新しいシートに変更箇所一覧を作成する」にチェックを入れると「履歴」シートが作成され、そこに変更履歴が詳細に記録されていきます。
ここでもご注意を。
この「履歴」シート、ブックを上書き保存すると削除されてしまいます。
(変更履歴自体は残っています。)

以上、Excelにおける変更履歴の記録についてご紹介しましたが、使いやすく分かりやすいのは Web版 Excelのほうだと感じます。