スマホのカメラやデジカメ、ビデオカメラで撮った動画をパソコンに取り込んで、編集して 1つの動画ファイルとしてまとめている方もいらっしゃるでしょう。
撮ったデバイスでそのまま再生することは何の問題もなくできるのに、いざ動画編集アプリで複数の動画ファイルを集めてまとめようとすると「このファイルは扱えません」と冷たくお断りされることが時にあります。
また、先日は PowerPoint2019で埋め込んだ動画を PowerPoint2010で再生しようとしたが「QuickTime使用不可」となって再生できないとのご相談をいただきました。
あるいは、ガラ携で撮った動画をパソコンに取り込んだが再生できないというご相談を受けたこともありました。
動画ファイルはいろいろな種類があるようで、今回はそれらの仕組みを紐解いてみたいと思います。
初めに「動画の仕組み」ですが、「映像ファイル」と「音声ファイル」の2つをまとめて格納してあり、それらを同時に再生して動画としているものです。
この格納する入れ物(容器)のことを「動画形式(コンテナ)」と呼んでいます。
また、動画形式のことを調べていると「Codec(コーデック)」という用語が出てきます。
コーデックは元となる映像・音声ファイルを圧縮・伸長をするもので、特に映像ファイルはそのサイズが大きいので圧縮して格納・伝送せざるを得ません。
つまり、コーデックで圧縮した映像・音声ファイルをコンテナの中に収めたものが動画ファイルだということになります。(下図)
上述したように、動画形式(コンテナ)には複数の種類がありますが、そこに格納できるコーデックの種類は自由に決められるわけではありません。
あるコンテナにどのコーデックが使えるかは決まっています。
別の見方をすると、あるコーデック(例えば「MPEG-4」)で圧縮された映像データは、異なるコンテナ(例えば「AVI」や「MP4」など)に格納できます。
ところが、コンテナによって機能が違うので、再生環境などに適用できるコンテナに格納された動画ファイルでないと再生できないという問題が起きます。
再生環境や動画自体の仕組みというのは、
- 対応する動画プレイヤーや対応するOSのバージョン
- ストリーミング再生に対応しているか
- 映画などで使われるチャプター機能に対応しているか
- 字幕表示ができるか
- 日本語・映画などに切替え可能か
‥‥などの違いがあり、さらには著作権保護の仕組みを入れたりしてかなり複雑になっています。
代表的な動画形式(コンテナ)を示します:
コンテナ | ファイル拡張子 | 映像コーデック | 音声コーデック |
AVI | .avi | H.264・Xvid・Divx・MPEG-4 | AAC・MP3・LPCM |
MP4 | .mp4 .m4a | H.264・Xvid・Divx・MPEG-4 | AAC・MP3・Voribis・AC-3 |
MOV | .mov .qt | H.264・MJEG・MPEG-4 | AAC・MP3・LPCM |
MPEG2-TS | .m2ts .ts | H.264・MPEG-2 | AAC・AC-3・MP3 |
MKV | .mkv | H.264・Xvid・Divx・MPEG-4 | AAC・Vorbis・MP3・LPCM・FLAC |
WMV | .wmv(.asf) | WMV9 | WMA・MP3・AAC |
ASF | .asf(.wmv) | H.264・Xvid・Divx・MPEG-4 | AAC・MP3・LPCM・FLAC |
VOB | .wmv | MPEG-2・MPEG-1 | PCM・AC3・MP2 |
これ以外にもあります。
各コンテナの特徴や仕様などについては省略させていただきます。
(ネット検索すると、たくさん出てきます。)
さて、画像編集アプリでまとめた動画をどのコンテナに格納してよいのか、つまりどの動画形式で保存したらよいのか迷うと思います。
編集アプリによっては、一択のものもあるので、そのときは迷いませんが、選択できる場合には現時点では「MP4」にしておけばよろしいかと思います。
理由は、対応する再生アプリや対応サイトが多いからです。
でも、上記のコンテナについても、圧縮率や復元画質など技術進歩、ストリーミングや多様な再生形態、権利保護、互換性などにより時代と共に提案されてきたものなので、今後も新たなコーデックやコンテナが出てくるかもしれません。
もし、古い動画ファイルが現在の再生環境で再生できない(あるいはその逆)ことが出てきたら、その動画ファイルを対応する形式に変換するアプリで変換すれば再生できます。
変換するアプリも多数提供されています。