ガンプラ、超リアル塗装考(2)
いや~、前回から始まったこの記事、いつもより反響がありますなあ・・。感謝!
ただ、誤解のないように補足しますが、前の回の内容はロールアウトカラーとしてのお話ですから、汚れ塗装に関しては叉の機会に書かせてください。
さて、今日のお題は金属材質に関して。
(2)チタン合金と内骨格塗装の解釈
ⅰ.そもそもチタンとはどんな金属なのか?
まあ、以前の記事「ガンダリウム合金考 」でも解説していたんですが、ここでちょっと噛み砕いて説明しましょう。
・色は銀白色である(どちらかというと鉄の色に近い。したがって銀やアルミニウムよりも黒みがかっている)。
・比重(密度)は4.5。アルミニウムが2.7、鉄が7.9なのでその中間くらいの位置づけ。ようするにアルミよりは若干重いが、鉄よりは軽い。
・純粋なものは耐食性が高く、展性、延性に富み、引張強度が大きい(硬くかつ粘り強い)。
・融点(溶ける温度)は1812℃である。鉄は1535℃なので、鉄よりも耐熱性はある。
※ただし、880℃以上になると金属結晶の構造が変化する。
図の、六方最密充填構造から体心立方格子構造へと変化する。
ここで注意点は、880℃を境に表面的な色合いも変化するということです。880℃を超えると銀白色から若干黄色味を帯びた色合いになるそうです。
ⅱ.実用されているチタン合金の比較[神戸製鋼HOMEより]
[元素記号]Ti・・チタン、Pd・・パラジウム、Al・・アルミニウム、Sn・・スズ、V・・バナジウム、Cr・・クロム
まずは塗装に関わる話から書きますと、チタン合金に混合される金属はいずれも銀白色なので、純チタンから比べてもそれほど色合いはかわりません。
チタン合金は、大別するとα型(耐熱型)・β型(高強度型)・α-β型(両方の特性を持つ)があります。
で、最も優れるのは64合金(アルミニウム6%、バナジウム4%、チタン90%)と呼ばれるα-β型のものです。ただし、α-β型とβ型は摩耗に弱いという欠点があるのがネックです。
まあ、この辺がガンプラ塗装に何の関係あるんかっていうと・・・・・。
①チタン合金のチタン含有率はどれも80%以上なので、その色は純チタンと大差ない。
②チタン合金は摩耗に弱いので、関節部などは別素材で構成されると考える(ステンレスなど)。
→つまりシリンダーなどは銀めっき色などが妥当ということ。
③ジオン系の超硬スチール合金は、チタン合金とほぼ同色と推測。(鉄の色とチタンの色はほぼ同じ)
つまり、ガンダリウム合金や超硬スチール合金の色を表現するなら次の色が妥当っていうことになります。
[タミヤ]ガンメタル・ライトガンメタル・メタリックグレーなど
[クレオス]赤鉄色、クロムシルバーなど
※混色するなら黒鉄色とシルバーを混ぜたりしてつくるのもありでしょうね。
とまあ、ムーバブルフレームを塗装するならこれらの色が解釈上正しいのではという考えですが、ここで一つ問題点あります。
むき出しの金属を部品として使うことはありえないこと!
つまり何らかのコーティングをする以上、この色そのもので塗るのはおかしいということですね。それに関しては、下記項目にて・・・。
ⅲ.酸化皮膜に関して
金属のコーティングで一般的に使われている方法として、表面を酸化物でおおう方法があります。
有名なのは、アルマイト(酸化アルミ)ですね。戦前の話で、アルミニウム製の弁当箱に梅干を入れると溶けて穴が開くというのがありましたが、アルミニウムの表面を酸化皮膜で覆うと耐食性に優れたコーティングができるってやつです。
あ、どうでもいいですが、ルビーやサファイヤなどの宝石は、実はその酸化アルミニウムに若干の不純物を含んだ物。色合いは不純物の色で決まるんですね(ルビーはクロム、サファイヤは鉄やチタン)。
酸化アルミニウム自体は無色なんです!
つまり、私たちの生活でふれるアルミ素材のものはほぼ表面がアルマイト加工。そして、その色はアルミニウムの色が反映されているってことですね。
で、チタンにも同様に酸化チタンという皮膜に使える化合物が存在してます。
で、この皮膜も実は無色。
酸化チタンは、フッ化水素酸,熱濃硫酸および溶融アルカリ塩に溶解するが、それ以外の酸,アルカリ,水および有機溶剤には溶解しない耐食性にとんだ物質です。また、融点は1870℃と純チタンよりも高いので、耐熱効果もあるってわけです。
あと、光触媒で有機物を分解するんで汚れが付きにくいなどの特性もあります。
ということは・・・・
ムーバブルフレームなどの内骨格は、酸化チタンのコーティングならばもろチタン色と解釈することができる!
じゃないすかね?
つまり、僕的な解釈では耐熱塗料の限度が800℃程度である以上、内骨格を一般的な塗装(プラモ塗装ではなく)で処理するのは無理があるっていうこと。
金属コーティングには、酸化チタンのような無色透明な酸化皮膜を用いるほうが技術的につじつまが合うので、前述の色でガンプラの内骨格は塗装するほうがよいってことっす。
ただし、地球圏の運用では極端な高温になりにくいし、さまざまな状況で腐食する可能性もあるので耐食性に富んだ塗料で塗装するのもありと思います。
まあ、陸戦型なら金属色にこだわらなくてもいいのではってお話です。
ただし、ジオン系の超硬スチール合金の場合は、鉄系の酸化皮膜は黒色で脆いんで没かな?まあ、そいつらの場合はつや消しのグレーで塗ってもいいような気がします。