スティーブン・スピルバーグが、自身が共同社長を務める映画製作会社を立ち上げ、その会社で作られた監督作品第1弾。
1839年(日本では、のちに御台所で大活躍する篤姫様が4歳のころ)に、実際に起きた『アミスタッド号事件』を映画化。
アメリカの、歴史の教科書となりうる作品。
アフリカ西の小国シエラレオネに住むアフリカ人が拉致され、奴隷として不当に人身売買されたのち、奴隷輸送船でカリブ海を航海中に反乱を起こした。
その後アメリカ海軍に拿捕され、裁判にかけられた。合衆国最高裁まで審議が及ぶ。
自身の会社に勢いとつけんとばかりに発表され、93年【シンドラーのリスト】で味をしめた賞レースも視野に入れて作られたが、同年映画に【タイタニック】や【グッドウィル・ハンティング】【L.A.コンフィデンシャル】など名作ぞろいのなか惨敗。翌年【プレイベート・ライアン】で、一応は面目は保つ。
海上のシーンはさすがの迫力で、回想シーンはシンドラーのそれに迫る映像。
史実ものにありがちな冗長さが、物語のキモである裁判シーンを挟むことによって増幅される。
スピルバーグは映像監督だから、こういった『静』の演出はあまり巧くない。
法廷の画に、画力がない。どこを中心に捉えてるかわかりづらく、バランスが悪い。協議のセリフもわかりづらい。原告側の政府が陳腐で、大統領がなんか薄っぺらい。
対決ものは、敵が強靭でなきゃね。
それでも検事役のピート・ポスルスウェイトは頑張ってた方で、最後のアンソニー・ホプキンスまでは彼一人が目立っている。さすが、スピルバーグに「最高の俳優」と言わしめたほど。2011年のことだけど、惜しい人を亡くしました。まだ64歳だって…。
アフリカ人リーダーに、ジャイモン・フンスー。ほとんど英語は話さないなか、迫真の演技で頑張ってた。個人的には【ブラッド・ダイヤモンド】の方が好き。
若き弁護士役に、マシュー・マコノヒー。誰だかわからない…。
序盤に彼の「要は、所有権の問題」というセリフのおかげで裁判自体に難解さはなくなったんだけど、演技がよかったのは最初だけ。最後は空気になってた。
港で通訳探すシーンはよかった。
モーガン・フリーマンの使い方がもったいない。セリフが少なく、結局なんの役だったのかもハッキリしない。
ステラン・スカルスガルドに放った一言にはシビレたが。
でも存在感のある役者だから、奥に立ってるだけで安心感がある画にはなっている。
ローグことアンナ・パキンの、お子ちゃま女王ぶりが微笑ましい。
おいしいとこをすべて持っていったアンソニー・ホプキンスは、声質と目がレクターだった。
自身の演技アプローチで、元大統領=レクターになっていったんだろうか…。
この事件が、のちに南北戦争を引き起こす一つのきっかけとなったわけだけれども、それを知るには大変勉強になる。
やっぱり教科書。