日本ではビデオスルーになったが、なかなかの良作。
1966年、イスラエルの若手諜報員レイチェル、ステファン、デヴィッドの3人が、元ナチスの人体実験で戦犯扱いになっていた外科医を捕えるために、東ドイツで繰り広げられる作戦を決行。
1997年、その作戦で英雄になった3人だが、女性諜報員レイチェルがずっと浮かない顔をしている。その浮かない顔の意味とは…
なんでビデオスルーだけに留まったのかわからないが、1966年と1997年を交互に見せていく展開には、思ったよりもわかりやすくてぐいぐい引き込まれる。少し王道すぎるが、サスペンスらしい音楽の使い方もいい。
1966年のレイチェルに、ジェシカ・チャステイン。とても可憐である。
武骨なスパイ役だというのに、産婦人科に通うというその設定のせいか、しっかり『女』を魅せてくれる。
デヴィッドに若手の新鋭サム・ワーシントンなのだが、やんちゃな役が多い俳優だけど、任務遂行のために己を自制する頑固者を熱演。ほかの映画では見せない硬い表情が良。
諜報員3人と捕えられた外科医が、一つの部屋で繰り広げられる心理戦が見もの。
この外科医が、頭が良くて、狡猾で、憎たらしくて…。レイチェルとデヴィッドの心がグラグラ揺らされていくシーンが凄くいい。
1997年のレイチェルに、オスカー女優ヘレン・ミレン。齢65年の大女優がキビキビ動く。背筋が伸びてて足取り軽やか、ストレスかかえたとこに安らぎの一服。見ていて気持ちがいい。
同年に元諜報員役という設定の【RED/レッド】があるがあちらはコメディなんで、こちらでは大真面目な元諜報員が観てとれる。
出演者全員がアクセントがアジアに近い中東英語で喋るため、とても聞き取りやすい。
火薬・爆薬もなく、あまり物の壊れないアクションシーンが低予算映画を感じさせるが、演出と脚本がいいので気にならない。
結末がちょっとサスペンスにしては物足りないので、その辺がビデオスルーの所以なのだろうか。
1966年と1997年のデヴィッドが、とても同一人物には見えないキャスティングには思わず笑っちゃう。
見終わったあと、思わずもう一度初めから再生したくなるような作品。