日本でも悪名高いウガンダの独裁者イディ・アミンの、大統領就任から独裁者へ変貌していくさまを、スコットランド人青年医者の視点で描いていく実話を元にした作品。
青年医者はフィクションなので、客観的にアミンを見進めていくことができる。
余談だが、元祖歌って踊れるデブ=ウガンダ・トラは、アミンの風貌が似てるとこから命名された。
「わたし まーつーわ いつまでも まーつーわ」のあみんは、元を辿ればこのアミンからきている。
イディ・アミン役に、フォレスト・ウィテカー
【グッドモーニング・ベトナム】で人懐っこい笑顔の青年を好演し、【パニック・ルーム】でなよなよした気の弱い犯罪者を演じるなど、どちらかというと人のいい役柄の多い黒い笑福亭鶴瓶フォレスト・ウィテカーが、極悪非道の虐殺者を演ずるというだけで興味がそそられる。
まず登場シーンから圧倒される。一兵卒から大統領になるだけある絶対的カリスマ性が、数分の演説シーンから見てとれる。ここからどんどん引き込まれていく。そのうち、あの緩い笑顔の裏側にある恐怖に背筋が凍っていく。怪演とはこういうこと。オスカー等、数々の主演男優賞を総ナメも納得。
スコットランド人青年医者役に、ジェームズ・マカヴォイ
当時はまだ無名だったジェームズ・マカヴォイも、この映画で世界から注目を浴び、アンジー共演の【ウォンテッド】(傷だらけの顔で拳銃構える姿がとてもカッコいい)、ハリウッドが力を入れているエピゼロ系【X-MEN:ファーストジェネレーション】(役どころの難しいプロフェッサーXを好演)、両作で主役を張るほどに。X-MENでもそうだが、背はあまり高くないけどオールドスーツが凄く似合う。
医大を卒業したばかりで、ただただ地元を出たいがために地球儀をまわして目を閉じ、指差したところへ行くという無鉄砲ぶりでウガンダへ。行き先のこともろくに調べず、勢いだけで突進し、バスで出会ったアフリカ人女性とベッドイン(いいシーンです)、派遣先の人妻に恋し、大統領の奥さんにまで………。と、若気の至りというか、バカっぷり満載。たぶん観る人ほとんどから支持されない青年だろうが、そう演じたマカヴォイが巧いのだと思う。
派遣先の人妻役ジリアン・アンダーソン(Xファイルのスカリー)、大統領第三夫人役ケリー・ワシントン(ファンタスティック・フォーの岩男の盲目の恋人)、脇役の女優陣を、これでもかってくらい美しく撮っている映像力も魅力である。
こういった『アフリカにイッちゃった系』映画は数あり、それぞれ観終わった後味の悪さを不快に思う人も多いと思うが、人間として観てはおかなきゃならない作品。つい最近まで、場所によっては今現在でも、こんな事柄がアフリカでは起こっている。