「お!いいね、焼肉!ビールに、そしてまずはウナギだね。あとカルビ、牛タン、ロース、ハラミ・・・」
今や、焼肉業界ではカルビ、ロース、ハラミに匹敵する程、人気メニューの一つになった、ウナギの切り身。
韓国ではウナギを焼肉スタイルで食すのは一般的だが、日本もここ数年で一躍人気のメニューになった。さすがに一般の肉と違って、焼き方の難しいウナギの切り身は、ベテランの店員が焼いてくれる。(自身で焼いても可)
注文時、
「有頭、無頭どちらにします?あ、頭をつけるか、つけないか、ってことですが。それに腹開き、背開きどちらにしますか?」と聞かれる。
手元にある写真入りのマニュアルを見ながら、
「じゃあ、オーソドックスな無頭、背開きで(笑)」
「かしこまりました。あ!ヒネ(2年もの)もありますよ。こちらの方が、よりウナギの味がしますよ。ただ、“あっさり“が好きなら、淡白な新仔(新もの)でも充分だと思います、しかも柔らかいですし。どちらにいたしますか?」
「じゃ、私は新仔でお願いします」
「おれは、ヒネがいいな!」
店員がウナギを焼いている間、
「まさかさあ、人工養殖ウナギが現実になるなんて思ってみなかったよね!ただ、味は天然シラス(ウナギの稚魚)の方が味はいいかな」
「いや、味覚なんて人それぞれだし、自分が美味しい!と思えば、それでいいんじゃない?ただ、においがあるのは何だろうと嫌だけど(笑)」
と、僕らは鰻談義に花を咲かせた。
今や、蒲焼専門店、ウナギの全国チェーン、スーパ-・量販は無論、焼肉店、中華料理店へと、ウナギの裾野は着実に広がっている。最近では、フレンチでもウナギという商材が注目を集めている。
ウナギ流通量(※活鰻換算)も年間で、2000年の最高記録16万トンを越す20万トンまでに達している。
その後、しばらくして店員が、
「はい、しっかり焼き上げましたよ。このまま、塩タレをつけて召し上がってもらってもいいですし、タレをつけてサンチュ巻いてもいいですし。お好みでどうぞ」
「焼肉スタイルで食べるウナギもまたひと味、違うよな」
「だよねw」
周りを見渡すと、ほとんどがウナギの切り身を当たり前の様に注文している。一昔前は考えられなかった光景だ。世界に誇る日本の伝統食文化“ウナギ”人気は改めて不動のものになった。
さっき注文した、濃厚なタレのついたくりから焼きを口にくわえながら寝ている自分がいた。
「せっかくの鰻をいただいてるのに、何寝てるのよ!命を捧げてくれてる鰻にも失礼よ!」
「ね、寝てねーよっ」
その口からはよだれよろしく、ウナギタレが垂れている。
「あ!いつものウナギ冷麺頼んだ!?」
「頼んだわよ!」
「そんで~、さっきの続きなんだけど。ウナギってーのは淡水魚のなかでもコラーゲンが云々・・・」
ほろ酔いの自分は懲りずに、鰻の話をするのであった。
著:うなっくす
![$鰻に魅せられて](https://stat.ameba.jp/user_images/20130827/12/unax1974/c5/35/j/t02200146_0640042512663240933.jpg?caw=800)