『鰻の神様が守ってくれた』〜被害が少なかった奇跡の町「松島」を訪れて〜 | 鰻に魅せられて

鰻に魅せられて

~鰻(うなぎ)に関する話題をメインに書き綴ったこだわりブログ~ 
☆うな重を食べるとそこには笑顔が生まれる☆

ぼくは4月末、日本三景の一つ”松島“に立ち寄った。この近くには、伊達政宗の菩提寺である『瑞巌寺』があり、境内には、大正12年に建立された、高さ2.85m、幅1.57mの大きさを誇る”鰻塚“がある。この辺は、シラスうなぎの北限に位置し、当時は北上川、阿武隈川、名取川など古くから天然ウナギが漁獲され、取引も活発だった。このため、鰻塚建立の際には、地元をはじめ、北海道から東京に至る蒲焼店、問屋がそれぞれ寄付金を出し合った経緯があるそうだ。

[鰻塚]
$☆鰻に魅せられて☆


そうした古い歴史の中、毎年5月13日に地元のうなぎ関係者を中心に鰻供養が行われ、ぼくも縁あって毎年、顔を出していた。それだけに、今回の東日本大震災による、隣町の東松山市の目に余る惨状には、大きな不安を覚えた。しかし、各地で大きな爪痕を残した大津波だったのにも関わらず、この松島エリアだけは甚大な被害はほとんどなかった。その理由に松島湾内の260にもわたる島々が防波堤の代わりになったのでは、と言われている。


思い入れの強い瑞巌寺境内を散策すると、料理屋の店先には『奇跡の町、松島へようこそ。私達は松島の島々に守られました。だから、今度は私達が松島を守ります』との言葉が掲げられていた。他地区に比べ、被害が少なかった松島、あえてぼくは、タイトルの様に、『鰻の神様が守ってくれた』と思いたい。
$☆鰻に魅せられて☆



それはいくつか理由があって、ひとつは、このエリアが古くから、うなぎの稚魚であるシラスうなぎの北限であった事、同時に天然ウナギが漁獲されていた事は前述した通り。また毎年のように行われる鰻供養では松島湾でうなぎの放流も行われるなど、この地区は「鰻塚」を中心にうなぎにまつわるものが多いからだ。

また近年は、宮城県内の鰻屋さんを中心とするうなネットのメンバーがPRを兼ねて勢力的な活動している事は言うまでもない。なかでも、甚大な被害を受けた同県石巻市のメンバー2名も、店舗こそ、甚大な被害を受けたもののメンバーそれぞれが無事だったことは何か、神懸かり的なものを感じた。

ちなみにうなぎは、干支“丑”、“寅”の守護神、虚空蔵菩薩(こくぞうぼさつ)の化身、また神として祀られる話も多い。代表的なのは、『秋の大雨が数日続き、古利根川(中川※利根川の分流)が増水し堤防は決壊した。(中略)うなぎの大群が縄の様になって寄り集まり、子供や老人の体が流れないように押さえつけて多くの人の命を救った。その恩返しの為にうなぎを一切口にしないと誓ったと言う』といった伝説もある。

多くの尊い人命を奪った東日本大震災だが、瑞巌寺を有する松島の被害は最小限に抑えられた。鰻の神様が守ってくれたのかは正直、分からないが、一連の出来事から、ぼくはそう思いたい。そして、二度とこのような悲惨な災害がない様、ただただ祈るばかりだ。 

[「あの大震災がうそのように、訪れた当日はおだやかだった松島湾」]
$☆鰻に魅せられて☆
$☆鰻に魅せられて☆







明日は

土用丑の日。

多くの方々が、美味しいウナギを食べてくれる事を切に願っている。