お風呂が大好きだった父。
しかしながら、晩年は足腰が弱くなり、ほぼ寝たきりの状態になってしまったため、施設でも頻繁に入浴ができた訳ではありませんでした。
それだけに、葬儀社から提案を受けた「湯灌の儀」に惹かれたのです。
棺に納める前に、ご遺体を清めるため入浴で身体を洗い流す儀式だと言います。
必ずしも必要な儀式では無いそうですが、湯に浸かるのは父にとって気持ちがいいかもしれないし
遺族の手で洗ってあげられるのは、最後の親孝行になるのではないかと思ったのです。
ただ、お願いした後で、いくら亡骸とは言え、皆の前で裸の入浴姿を見られるのは、父が恥ずかしいと思うかもしれない。
そんな想像をしつつ、「湯灌の儀」当日を迎えたのでした。
用意されていたのは、湯灌専用の浴槽。
浴槽には湯が張ってある訳ではなく、タオルで身を包んだ父に、遺族が柄杓で水を掛けるところからスタート。
これでは、入浴とは言えないのではないだろうかと一瞬思ったのですが、その後お二人の納棺師さんがしっかりと洗髪やシェービング。
タオルで覆われた身体を丁寧に洗って下さり、温かいシャワーを掛けていただきました。
私達も交代交代で洗いに参加。
若くて綺麗な女性納棺師さんが洗ってくれたことを、父はきっと喜んでいるに違いありません
綺麗に清めた後は、白装束の仏衣を纏い「納棺の儀」に移ります。
メイクを施され、生気が戻ったような温かみあるお顔に仕上げて下さいました。
義兄が、「お義父さん、かなり若返りましたね」と感想を漏らしてくれましたが、確かにその通り。
いつまでも見た目若くありたいと、理髪店での白髪染めを欠かさなかった父にとって、満足いく一言だったことでしょう。
尊い納棺師の仕事を見せて頂きました。
その後は、皆んなで足袋や膝当ての紐を結んだり、棺の中に六文銭や杖、草履等を入れていき旅支度が完了。
感謝の意を伝え、葬儀社を後にしたのでした。
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