あらすじを読んで興味を持った作品です。
 






 《あらすじ》公式サイトから

空想のモンスターを生み出すゲームデザイナーのフリアン。VR 空間で獣のデザインを立体的に形作っていく。
ある日、自宅で作業をしていると助けを求める子どもの声が。アパートの向かいの部屋から炎があがっている。玄関のドアが開かずパニックになっているクリスチャン。フリアンは必死にドアを蹴破り救い出す。
夜中、息が苦しくなり目を覚ますフリアン。病院にたどり着くと気を失ってしまう。しかし、心電図も検査の数値も正常だ。強いストレスや恐怖に対する脳の自己防衛によるパニック発作だと診断される。
フリアンは同僚サンドラの誕生日パーティーで美術史を学ぶディアナに出会う。聡明でどこかミステリアスなディアナ。彼女の父は2年前に脳卒中を患い、いまはふたり暮らしで、ほぼひとりで介護をしているという。映画やゲーム、アートについて語りあい、次第に惹かれ合っていくふたり。
しかし、フリアンはある秘密を抱えていた。それは火事から子どもを救ったあの日から、まるで肺に吸い込んでしまった煙のように彼の中で静かに渦巻いている“ある感情”。やがてそれが思いもよらぬマンティコア [怪物] を作り出してしまう…。


《感想》

 観た後は、???で難しい映画だったなぁというのがまず感想です。

 

 「マンティコア」とは

西ヨーロッパの中世美術にも広く普及した、エジプトのスフィンクスに似たペ ルシアの神話上の生き物。人間のような頭、ライオンまたは虎のような胴、ヤマアラシの羽に似た有毒な棘の尾もしくはサソリの尾を持つ怪物で 、人喰い(マンイーター)と伝えられる。


 と公式サイトで記載されていました。


 主人公は、空想のモンスターを生み出すゲームデザイナーのフリアン。

 VRを使って空想のモンスターを描いていた。

 空間でスプレーを使って絵を描いている感じにみえたが、絵を描く人の才能ってやっぱりすごいなと思った。

 キャンパスに描いている感じなんだろうけど、私には空間認知力が優れてなければできないのでは?なんて思ってしまう。

 繊細さを感じる。


 ある日、自宅で作業をしていると助けを求める子どもの声が聞こえてきた。アパートの向かいの部屋から炎が上がっているのが見えた。

 玄関前で玄関を開けられるか声をかけると、玄関のドアが開かないんだとパニックになっていた。

 体当たりして開けてみるから玄関から離れていてと声を掛け、何度目かで玄関が開いた。

 子どもを救出し、持ってきた消化器で火を消す。

 子どもを落ち着かせるために、お互いの自己紹介をし、ピアノの話、将来の夢などを聞くのだ。

 子どもの名前はクリスチャン。

 ピアノは好きだが、将来は庭師になりたいという。植物を育てるのが好きで、植物にピアノを聴かせたいと話をする。

 フリアンに子どもの頃何になりたかったのか?をクリスチャンは聞いてきた。

 フリアンは虎になりたかったとのこと。

 クリスチャンは冷静に、「虎にはなれないよ。虎は人の顔を怖がる。だから頭の後ろにもお面をかぶるといいんだよ」と話をするのだ。


 クリスチャンのお母さんの話から、古いアパートだから、火災が起きてしまったようだった。


 火事での対処の仕方は、とても冷静なフリアンだった。火事も大事にいたらずよかったが、煙を吸っているので、異変があったら病院へと指示されていた。

 その夜寝ている時にフリアンは突然息苦しくなるのだ。病院の受付で倒れてしまった。

 検査結果、特に異常はなくパニック発作が起きたとのことだ。

 私もパニック障害があるのでわかるが、本人にとっては前触れなくパニック発作が始まるのだ。

 ストレスはありませんでしたか?と聞かれるが、えっ、と思うのだ。

 でも、後から考えると負荷がかかった出来事があるのだ。

 負荷の積み重ねで、はじまるパニック発作。火事で溢れ出たんだろうな、と思うのだ。

 

 私も何度か夜にパニック発作を起こすし、夜中にパニック発作で救急車を1度だけ呼んだことがある。パニック障害になってからもう4年も経過しているのに、これがパニック発作なのかとわからなかった。

 苦しくて、息ができず、手はどんどん冷たくなり、痺れてくる。足も血の気が引いて、立っていられなかった。そして寒気が止まらない。死にそうだった。

 救急隊員は、パニック発作だと冷静でしたけどね。運ばれた先の病院も少し休んだら治るからと何の治療もなく冷静に対応されました。

 

 同僚サンドラの誕生日パーティーで美術史を学ぶディアナに出会った。聡明でどこかミステリアスなディアナ。彼女の父は2年前に脳卒中を患い、いまはふたり暮しで、ほぼひとりで介護をしているという。映画やゲーム、アートについて語りあい、次第に惹かれ合っていくふたり。とあらすじに書かれているが、2人の関係は少しずつ距離が縮まっていくような描写だった。


 フリアンはたまたまカフェに入った時に、遠くにクリスチャンとクリスチャンの母親がいるのが見えた。

 フリアンから話しかけに行くわけではなく、親子も気がついてはいない。

 フリアンはもともと人付き合いが苦手な感じで、話し下手という感じの印象。

 フリアンは、クリスチャンを見つめ、クリスチャンの顔を描き始めるのだ。

 デザイナーだから、絵を描くのが好きなのかな?ゲームの作品の中のヒントにでもするのかな?なんて思って観ていたのだ。

 しかし、違っていた。

 段々、クリスチャンを意識しているようだ。

 家で仕事をしている時にピアノの音が聴こえると聴こえないようにヘッドフォンしたり、急に引っ越しまでするのだ。

 クリスチャンの母親から、お礼をしたいと思っていること、息子にも挨拶をしてと言われても、荷物で顔を隠す。

 

 だんだんクリスチャンを意識していることがわかってくるのだ。


 最終的には抑えきれなかったのか会いに行ってしまうのだ。

 お母さんから聞いたとか、お母さんには黙っていてとか、今までのフリアンからすると考えられない行動に見えてくる。

 そして、ココアを作ってあげると言って睡眠薬?安定剤?を入れて作るのだ。

 ちょっと恐ろしい。

 ピアノ弾きながら寝てしまうクリスチャン。

 抱き抱えてベッドに連れていくと、虎の身体にフリアンの顔を描いた絵が貼ってあるのだ。

 それを見たら、フリアンは窓を開けて飛び降りてしまうのだ。

 自分がモンスターになっていることに気がつき、歯止めにしたかったからなのだろうか?


 あらすじに、『フリアンはある秘密を抱えていた。それは火事から子どもを救ったあの日から、まるで肺に吸い込んでしまった煙のように彼の中で静かに渦巻いているある感情。やがてそれが思いもよらぬマンティコア [怪物] を作り出してしまう

 と書いてあるが、パニック発作はある秘密が関係して発作として現れたのか?と考えると、私には、違うような気がしてならないのだ。パニック発作はストレスや真面目すぎるところから発作に繋がると言われている。

 火事によってクリスチャンを知ったが、火事が起こらなければ、違う子に出会って思いを寄せるのだろうか?

 火事になった時、クリスチャンのお母さんを助けたとしたら、パニック発作が起きずだったのだろうか?

 そんなことを考えてもだが、クリスチャンだからなのか?違う子であっても小児であったらなのか?すごく腑に落ちないのだ。

 パニック発作で怪物を表しているとしたら、パニック障害を持っている私としてはえっ?と思ってしまうのだ。火事の煙が引き金としか思えなかった。

 一度夜中に起こしてしまうと、何度か繰り返すことになることは多いので、クリスチャンを思い出してとかは考えにくいのだ。ただ、火事がフラッシュバックすることはありそうなのですが。

自分を否定したくて表すならわからないでもないが、描写がわかりにくかった。


 会社に秘密がバレて、ディアナにもバレてしまう。

 会社も雇用形態が変わる話やディアナに嫌われてしまうのだが、歩けなくなると、ディアナはお見舞いにきて、介護までし始めるのだ。

 ディアナは、介護が生きがいだったのだろうか?

 お父さんが亡くなり、フリアンの介護ができることで戻ってきたのでしょうか?


 この結末は愛か悲劇か?と書かれているが、私にはわからない。人間の心の闇のタブーに踏み込んだ、衝撃のアンチモラルモラル・ロマンスと書かれているが、難しかった。