ひとりぽっちの妖怪暮らし20240218相談先は大奥 | ソラトスレスレノウミ

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化け猫たちの屋形船に乗せてもらった。
人も化け犬もいて、総勢150名くらいいたんじゃないかな。
 
お料理は天ぷらが多いってイメージあったけど、

お造りとか鍋とか小皿料理も何品か出て、

天ぷらも揚げたてで美味しかった。

 
私は地域猫活動を始めたかったんだけど、
話を聞けた化け猫の里親さんたちは、
自分たちの地域で、地域猫活動はしてないみたいだった。
 
1人でやるにはお金、時間、労力が厳しい。
去年は結局保護できたのは1匹だったし。
 
どうすべえかなあと考えていると、
私の耳にコショコショと囁いてきた化け猫がいた。
 
「今一度初心に帰り、相談してみよ」
 
そう言ってみゃあと鳴き、甲板に登っていってしまった。
 
おみくじみたいなこと言うネコだな。
だからどこにだよ。
 
相談する場所が分からないんじゃないかと、
私はぶつくさ言いながら、甲板に登ってみた。
 
 
寒くはあるが、気持ち良い。
 
 
 
ぐるりと周囲を見渡したが、おみくじネコの姿は無かった。
 
初心、というか、6年くらい前に少し関わった地域猫の
推進団体があったなあと、思い出した。
 
もう一回、連絡してみようかな。
 
次に相談する場所が決まったので、
更にアルコールを飲むとしよう。
 
私は甲板を離れ、階段を下りている途中で、
立ち止まった。
 
船内を改めて眺めると、ウチの主な妖怪たちが、
あちこちのテーブルに紛れ込んでいるのに気づいた。
輪入道、カワソ、石妖、ぬらりひょん、
百々爺、朱の盤、一つ目小僧、
八尺様(窓の外にいる、下半身は東京湾だな)……
 
今回、留守番する約束をしたのは…
 
私は新たに注文した日本酒を手にし、
先ほど飲み干したビール瓶で、
ぬらりひょんの伸びている後頭部をひっぱたいた。
 
「おいぬらり、こころんの世話はどうした」
 
後頭部を両手で押さえているぬらりひょんに代わって、
輪入道があわあわと答える。
 
元興寺が面倒みてる
「……がごぜにお土産として、この天ぷらと酒持ってもう帰れ」
「船の上だもん」
「泳いで帰れ」
 
百々爺が慌てて中に入ってきて、石妖は溜め息を吐きながら、
私の日本酒を取り上げ、お猪口に注ぐ。
そして自分のお猪口にも注ぎ、勝手に乾杯して、
「許しておやりよ」と言う。
 
「ぬらり、次のコンタクト先決まったから、
お前がコンタクト取れ」
 
まだ涙目になりながら、後頭部を押さえている爺ィは、
コクコクと頷いていた。
 
「ウチの方でも地域猫活動ができれば、
ネコたちに感謝されるの」
もう一人の爺ィが能天気に言う。
 
私は犬派だ。猫の感謝なんかいらん。