ひとりぽっちの妖怪暮らし20230122妖怪相談 | ソラトスレスレノウミ

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元興寺が疲労困憊している。

清姫の追い込みがキビシイらしい。

 

坂東三十三か所めぐりをしていると、

後ろをついてきて気が散るという。

 

今日は町会の一室を借りて、保護犬と触れ合ってもらう

月に1回開催している「アニマルサロン」の日だが、

一人目のお客の後に、元興寺がやってきて自分の相談話を始めた。

迷惑である。

 

 

 
 

 

清姫は安珍を探しているらしいのだが、

途中で飽きたらしく、元興寺のストーカーになった。

どうせ優しい言葉でもかけてしまったのだろう。

 

保護犬こころんと遊びながら、

なんとはなしに元興寺の話を聞いていると、

次のお客が来てしまった。

 

「ごめんよ」と入ってきたのは、

玉藻の前だった。

 

眼光鋭い玉藻の前だが、結構、情に厚い妖怪だ。

さっそく私を押しのけて、元興寺の悩み相談にのっている。

 

あれ?

でも玉藻の前さんて、………狐、じゃなかったっけ?

こころん、犬ですが、だいじょぶすか?

 

まあ、こんなちっこいの、意にも介さないか。

 

 

でもなんで来たんだ?

元興寺の困ったバカでかい顔が、

外からたまたま目についたのかな?

 

 

元興寺が涙目になりながら玉藻の前に訴えている。

 

「尼さんに道を訊いたら、鐘抱えて走ってくるえ~、よ?」

「ちょっと待て、あれ抱えて走ってくんのか!?すげーな」

 

私は思わず口を挟んだ。

 

「重いから、あの鐘はプラスチックらしいのよ。

組立式ですって」

「え」

 

玉藻の前が答える。

 

そうなのか。

いや、よく知ってんな。

そういえば玉藻の前って、ここらへんの妖怪の相談役だって、

妖怪の誰かが言ってたな。

 

ということは、清姫からも相談受けてんなコイツ。

 

私は彼女が今日ここに来た理由が分かった気がした。

不意に、玉藻の前がお見合いおばさんのように見えてきた。