【追記あり】小林製薬「紅麴」関連サプリ回収✱事件背景を探ってみた | 美容・医療ジャーナリスト 海野由利子のブログ

美容・医療ジャーナリスト 海野由利子のブログ

美と健康にまつわるさまざまなニュースや注目していること、雑誌に載せきれなかった情報をお伝えします。

昨日、3月22日に「小林製薬の紅麴関連商品の使用中止と自主回収」のニュースが出ました。

腎臓への健康被害が複数現れたので、飲んではいけない、買ったものは返品してください、ということです。

 

✱3/25追記 小林製薬の紅麹成分を使用した、他社の関連商品も回収を行っています

 

私は「紅麹」については詳しく知らず、信頼できる医師や研究者からの良い情報もなかったのでスルーしておりました。

 

小林製薬の会見でも「詳しいことは調査中」だそうなので、成分や背景を探ってみたら、、、

ありましたよ。リスク注意

 

ちょっと長くなりますが、順を追ってお伝えしましょう。

 

 

上差し今回、服用中止と自主回収になった「紅麹」関連サプリの一部。

 

 

注意問題となった「紅麹」とは?

 

蒸した米に紅麹菌を混ぜ、発酵させた米麹を指す。

 沖縄の伝統食品「豆腐よう」の製造などに使用されており、鮮やかな紅色が特徴。

(産経新聞記事より抜粋)

 

 

注意回収サプリメントに含まれていた成分は?

 

紅麹に含まれる成分「米紅麹ポリケチド」。

血中のLDL(悪玉)コレステロールを抑制する作用が確認されている。

小林製薬は特許を取得したオリジナルの紅麹菌を使用し、独自製法によって紅麹を生産しているという。

(産経新聞記事より抜粋 太字は私の加工です)

 

✱「オリジナル」と「独自製法」という点に引っかかりを感じます。理由は最後に。

 

 

注意「米紅麹ポリケチド」は安全なのか?

 

食品安全委員会の公式サイトによると、紅麹で発酵させた米に由来するサプリメントの摂取が原因と疑われる健康被害は、欧州で報告されている。

欧州連合(EU)では、紅麹菌から生産される有毒物質「シトリニン」のサプリメント中の基準値を100μg/kg以下に設定。

スイスでは紅麹を成分とする製品を、食品や薬品として売買することは違法。

(産経新聞記事より抜粋)

 

東京都でも平成30年(2018年)に[いわゆる「健康食品」中の有害物質について]という報告で

「紅麹の一部にはカビ毒のシトリニンを産生するものがあり、腎毒性と発がん性があるため、2014年4月からEU委員会規制によりシトリニン含有量が規制された」という記載があります。

13_shiryo4.pdf (tokyo.lg.jp)

 

 

✱すでに数年前に有害物質のリスクは報告済み。それでもあえてサプリに配合した理由は?わかりません。

 

 

 

注意有毒物質の「シトリニン」とは?

 

シトリニンは、ペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)、ペニシリウム・ビリディカータム(Penicillium viridicatum)などのカビによってつくられるカビ毒で、腎細尿管上皮変性を起こすことが知られています。
 東京都の検査では検出例は非常に少なく、その量も極めて少ないものですが、ハト麦、そば粉、ライ麦粉から検出したことがあります。

(東京都保健医療局「食品衛生の窓」)↓カビとカビ毒について、一覧から検索できます。解りやすい!

シトリニン|「食品衛生の窓」東京都保健医療局 (tokyo.lg.jp)

 

 

 

虫めがねというわけで、そもそも「米紅麹ポリケチド」には有毒物質の「シトリニン」を含むリスクがあったわけです。

もちろん、小林製薬がサプリメントを製品化をするときに、「シトリニンフリー」となるようなプロセスは行っていたと思われます。製薬会社ですしね。が、こんな報道もありました。

 

初回生産品(ファーストロット)での被害の訴えはなく、

被害の申し出があったのは2回目の生産品(セカンドロット)。

 

上差し

初回製品と2回目以降では成分が変わる、ということはあってはいけないことですが、学会やサプリメント業界から何度か聞いたことがあります。

 

2015年に機能性表示食品制度が始まりましたが、その前に制度内容などを抗加齢医学会で議論しているしているときに、

市販のサプリメントの成分チェックを行った報告もありました。

ある著名なメーカーのサプリは、効果のモトとなる成分がファーストロットにしか入ってなかったとか、セカンド以降は配合量が減っていたと。

 

(このシンポジウムに出席していた人は、私も含めてそのメーカー名を聞いてます。

それ以降、私は雑誌などで取り上げることも、紹介することもしませんでした。現在そのメーカーは他社に買われています。逆に、制度の議論の段階から製造・販売側として意見を述べていたメーカーさんは医学会からも信頼されています)

 

・・という事例があるので、「紅麹」のセカンドロットから、成分や原料の調達、製造法、管理などが変わった可能性はありそう。

 

 

虫めがねそもそも「紅麴サプリ」が表示している「機能性表示食品」とは?

 

機能性を分かりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者の皆さんがそう した商品の正しい情報を得て選択できるよう、平成27(2015)年4月に、新しく始まった制度。(消費者庁)

 

制度が始まったきっかけは「薬と思わせてしまうサプリ」のCMがあふれたこと。

一例として、消費者が「これを飲んでいれば痛い膝が治る」と思い込み、症状を悪化させてからやっと病院を受診するという例が増え、医療現場に「サプリが治療のタイミングを遅らせている」という怒りがあったから。

 

効果の科学的根拠(エビデンス)がないサプリには「効く」ようなことを一切アピールさせない。

その代わり、人でテストもし、科学的根拠のある安全性と機能性について、

ちゃんとしたデータがあるなら効果を表示できる「機能性表示食品」を作ろう。

となったのです。

 

とはいえ、「食品」カテゴリーなので、病気になっていない「健康な人」が対象。

「コレステロール高め」とか「お腹の脂肪が気になる人」とかね。

 

成分の効果データは、機能性に関与する成分のレビューを使えるので、開発資金が潤沢でない企業も製品化が可能。

野菜や魚介など、生鮮食品でも機能性表示食品の表示ができるので、地域おこしになるし、海外への輸出にも優位になる。

 

 

など、消費者はもちろん、地方や中小企業のメリットもいろいろ考えてあるのです。

ただ、(時間がかかる)消費者庁の審査がないぶん、メーカー側がちゃんとやってよね、ということになっています。

発売後には消費者庁などのチェックや消費者からのクレームによって、機能性表示が取り消されることもあります。

 

✱機能性表示食品とは(消費者庁) ←わかりやすい表になってます!

20160920_shiryou1_2.pdf (cao.go.jp)

 

 

地球まとめ

 

機能性表示食品には「悪玉コレステロールを下げる」とか「血中中性脂肪を下げる」など、

「効能」の記載はできますが、ほんの少し下がるだけかもしれません。

しっかりした改善効果を得たいなら病院で薬を処方してもらうほうが確実です。

 

聞きなれない成分や「日本初」とか「当社だけ」「独自」という成分は、

続けて服用したデータが多いとは言えないので、飛びつかずに様子見をすること。

トラブルや被害の報告がないか、待つことも大切です。

 

そして、面倒かもしれませんが、配合成分について検索してみましょう。

長年サプリに助けられている私ですが、要らんと感じる成分が配合されてるモノは服用しません。

スマホやPCでちょっと検索すれば、副作用とかリスクもすぐにわかる便利な時代なのですから、ぜひ。

 

コレステロールや中性脂肪の数値は、長年の食生活や生活習慣、体質によるものです。

これらに関しては、サプリを飲んだくらいで短期間で劇的に改善することはない、と今までの経験から思います。

 

 

 

注意「紅麹」サプリ、買ったという方はこちらへ下差し

 

紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせ | 重要なお知らせ | 小林製薬株式会社 (kobayashi.co.jp)