20代の初めから雑誌の美容ページに関わって40年以上。
スキンヘア、メイク、ヘアケア、フレグランスの新製品を数えきれないほど使ってきた。
メディア向けの商品資料や開発者の方々の説明から、成分の特徴や働き、処方の工夫を知り、アタマで理解を深めつつ
使ってみた感触や効果を確認してきた。
この40年あまり、化粧品は物凄く進化してきたと心から思う。
これからも進化し続ける化粧品とともに年齢を重ねられる、幸せな時代だと実感している。
けれども。
「うん?」
と違和感を持ってしまう化粧品がときどきある。
化粧品に必ず記載されている「原材料」をチェックするのはすでに習慣だし
スキンケア製品の場合は「何をしたい製品なのか」ということが、だいたいだけれども伝わってくる。
というわけで、あるブランドの製品たちを、どうしても確かめたくて実験してみた。
「違和感」の正体を確認したくなったのだ。
とても簡単な、実験とも言えない、時間だけは必要な実験だ。
結果、予想以上の驚きがあったのだ。
コロナ禍の間に日本市場から撤退したブランドなので、(名前は出さないけれど)お伝えしようと思う。
こんな処方のものもあるよ、という一例として。
変化がわかりやすいように、赤い色のクリアファイルの上に、
あるブランドのスキンケアアイテムの中身を出した。
実験は某年10月。
このブランドはに3つのラインで展開。
「A」は保湿強化
「B」は透明感強化
「C」はエイジングサインが進んだ肌対応
それぞれ、左が「化粧水」、真ん中が「美容液」、右が「クリーム」。
たとえば、「C」の美容液は乳液状で、クリームは半透明のジェル状なのがわかると思う。
このまま、仕事部屋の直射日光が当たらない場所に平らに放置。
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14日後の状態。
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クリアファイルに出して放置なので、ある程度蒸発するかもと思ったが、なんとあまり変化なし。
そっと触れてみると、ねっちりした感触。化粧水は水分がかなり無くなってるけれど、やっぱりねっちりしたものが薄く残っている状態。
残っているのは、原材料に記載されてるポリマー成分と思われる。
油分や美容成分を抱えたまま、2週間経過しても乾かず、形をとどめている。
フェイスパックで「肌に塗って、乾いたら剥がす」ピールオフタイプがあるが、あの“ぺろっと剥がれる”性質をもってるのがポリマーだ。ポリマーは分子のサイズが大きいので、皮膚内には浸透しない。
「肌が乾燥しない」とか「肌が引き上がった感じがする」、「肌にツヤが出る」などというユーザーの口コミも、
この実験をしてみて、一時的なポリマーの働きによるものなのでは?と思った。
私が試したときは、どれもなんというか、、いつまでも乾かない膜が肌の上にずっとある感覚で。なじんでいく実感もなさ過ぎたので実験しようと思ったし、好みではなかった。
それでも、肌がとても荒れているとか、角層が薄くて乾燥がが激しいという肌なら、ポリマーが包帯のように肌を覆うことで回復の助けになることも考えられた。
いずれにしろ、日本市場では売り上げが伸びなかったそうで撤退。
ポリマー使いすぎて効果実感を与えられなかったのでは? と個人的には思っている。