蛍をみせるため | 光と波動と音楽と ふゆこのサンフランシスコ日記

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日常を綴るアラフィフ在米日記です。

 

 

 

 

 

 

それからの1年 父はリハビリを続け

病院にかかりながら一生懸命 健康に気をつけて

暑い夏も乗り切ってくれました

 

 

 

わたしは子供の夏休みに帰省し父に再会

みんなでトランプをしたり

季節外れですが 大好きな百人一首をして

楽しい時間を過ごしました

 

 

 

そして今回どうしてもわたしたちに蛍をみせたいと

父は張り切って

少し遠いところにある天満宮に連れていってくれました

 

 

 

 

暗くならないと蛍は見えないので

出発したのは夜の9時過ぎ

駐車場に着くとあたりはもう真っ暗

 

 

 

父は車から降りるとき

重い鎖をだして手に巻き付けていました

 

 

 

(。´・ω・) ん? なにしてるのお父さん?

と聞くと

「悪さをする連中がでるかもしれんから

念のためにな」と

 

 

そ、そんなことある訳ないでしょ?と驚いたのですが

 

 

 

その頃の父は 以前に比べると体力も落ちて

鎖を巻き付けた手は年をとっていて

それでも父の顔は真剣で 

夜の天満宮、何が起こるか分からない

何かあったら娘と孫を守る!という気迫がみなぎっていました

 

 

 

そんな父とはうらはらに 天満宮場内に入ると

家族連れがあちこちで蛍を見物していて

暗くて静かでとても和やかな雰囲気でした

 

 

 

 

蛍はあちこちに美しく光って

それはそれは素晴らしい光景でした

初めて蛍をみてはしゃぐ娘 その姿を喜んで眺める父

 

 

 

蛍をみせるために

夜の危険からわたしたちを守る覚悟で

あれこれ思案したうえでここまで連れてきてくれたんだ・・・

父の深い想いに胸を打たれました

 

 

 

 

 

 

楽しい夏の帰省が終わり

新幹線のプラットフォームまで父がいつものように見送りにきてくれ

わたしと娘は米国へ戻っていきました

 

父は新幹線の窓越しに、満面の笑顔で

見えなくなるまで手をふってくれていました

 

 

そしてそれが父をみた最後になりました

 

 

 

 

サンフランシスコの夕暮れ