ふ~じ~はにっぽんいちのやま~ 押し活ででかけた電車の車内でとった富士山。どんくさな私でもこれくらいはきれいな写真がとれました。富士山に、「私は○歳までに、財務と、相続と、不動産のプロになりますです!」と約束しました。
【弁護士と税務】
前回で、損害賠償金が課税対象になるかについて少し書きました。去年は、自分自身がちょっとしたどさくさに巻き込まれ、少し税金の勉強をしたのと、ひとり事務所をやっているとどうしても税金について、「わかんないなあ」と思うことが出てくるので、今までに経験したお話をもう少し。
大学の法学部や、法科大学院には、税法のコマが必ずあります。けれど、公務員試験を受けるとか、司法試験を受けるとかなると、どうしても、税法まで勉強する余裕がありません。
だがしかし! 弁護士の扱う仕事は、大部分が、「カネを渡せ」か「モノを渡せ」という請求が対象なので、税金問題から逃れることはできないのです。そもそも、弁護士の税金との関わりは、たとえば、前回のように、○○が課税対象になるかという争点が出たときに、その争点について深く調べるということが主だと思います。確定申告書を作成するのとは業務の内容が異なるのです。とはいっても、自分の作成した契約書により、依頼人にもんのすごい税金がかかるような結果になっては元も子もありません。
たとえば、離婚の時。財産分与が問題になります。これとても、いってみれば、税金問題の山。裁判所が、夫と妻それぞれの財産額を試算するシートをHPで公表しており、今は、多くの弁護士がこのシートを使っていると思いますが、このシートとても、税効果まで勘案して作成されているわけではありません。
法学部や法科大学院の授業や試験では、財産分与が問題になるのは、「過大な財産分与が詐害行為にあたる」というテーマに関することが一番多いと思います。私は税法の講義は受けませんでしたが(アメリカ留学中に、卒業のための単位取得のために、多分そのころ日本ではまだ一般的ではなかったREITの税務に関する授業を受けましたが、まったくわかりませんでした。よく卒業できたもんです。)、私の知る限り、民法の授業で税法が話題にのぼることはほとんどなく、どの科目もその科目を対象とする法律のみに限った見事な縦割りの授業だったと思います。
何年か前は、子の引き渡し、面会交流、離婚、離婚に伴う養育費の請求など、かなりの家事事件もやっていました。
養育費に関しては、改正された財産開示制度を使って、150万円超の前夫の銀行預金をありがたく差し押さえさせていただいたこともありました(♡)。
1件、離婚調停の調停案の中で、相手方の弁護士が、非常に細かい案文を作成したことが記憶に残っています。大体、比較的若い夫婦の離婚の際には、多くは共有名義の自宅不動産と住宅ローンが財産分与の対象財産の中で金額的には突出したものになります。でも、そもそもが不動産といえば税金の塊.... 固定資産税は、当年の1月1日の所有者にかかるので、離婚の日を基準にして負担額を按分するなんていう文言はかわいいもので、(今はよく覚えていませんが)住宅ローンの控除額の扱いについてかなり細かい文言を記載していました。当時の私は読んでも意味がよくわからず、何度か税務署に電話して聞いたものでした。調停委員さんも、最初は面食らっていたと思います。
実は、不動産や有価証券等含み損益の出る財産の財産分与についてはそれなりに裁判例が蓄積されています。余談ですが、普通の金銭等の財産も含めた一般論ですと、20年以上の婚姻期間のある夫婦が離婚する場合、財産を受ける側は、2000万円の配偶者控除と毎年110万円上限の贈与税の控除を受けられますが、配偶者控除を受けたかったら、離婚の前に、財産分与をしなければなりません。だって、「配偶者」の控除なんですから!
含み損益財産の譲渡の場合、譲渡を受ける側に贈与税がかかるのではなく、譲渡する側に譲渡所得税がかかる場合があります。
(譲渡所得税は含み益にかかる税金です)。裁判所によると、そのココロは、「この譲渡によって、譲渡義務を免れるのであるから、債務減少益になる」からだそうです。また、これらの資産については、元の所有者の保有期間が何年間かによって税率も違ってきます(5年または10年超かどうかが長期と短期の分水嶺になることが多い)。が、この長期特例は、親族に対しては適用されません。そう、この場合は、離婚してから、財産分与をしなければならないのです!
などなど、単に、離婚に伴う財産分与として民法の教科書では1ページも書かれていないことが、税金の話を含めると、1冊の本が書けるようになるのです。弁護士としてどう助言するか。ともかく、普段から一生懸命知識を蓄えて、最適解を見つけられるようにするか、そこまでいかなくても、問題には気付いて、自分が税理士に聞くか、依頼人が税理士にスムーズに引き継げるようにすべきでしょう。
と、最近急に税務に興味をもった私は、某予備校のパンフレットを送ってもらいましたが、お値段の高さに未だに決心がつかずにいます。アメリカの公認会計士試験には合格したので(多分日本では簿記3級レベル?)、ある程度の簿記はわかりますし、ああいうこちゃこちゃした作業は嫌いではありません。貸借対照表の作成問題で、左と右が同じ数字になったときの爽快感はわすれられません.....
なんですが、弁護士の仕事って、結局、器にすぎないので、中身はほ~んと無限なのです。医療、建築、家族関係、税金etc、「多学、雑学、いつかは助かる」と思っていろんなことに興味をもっていないと。最近はAIですか.... 大変な世の中です。