この公演を私は見たわけではありませんが、とあるショッピングセンターに展示されていました。きれいだったので、しばしの気分転換になりました。
【日本語は難しい(ーー;)】
私は、債務整理もやっています。相談者から事情を聞いて受任をし、業者さんと和解契約を締結するだけでなく、和解後に、依頼人からの入金を受け、返済日に業者さんに返済をするという「振込代行」という業務まで、私が一貫して手を使って従事しています。債務整理の業務から、「日本語は難しいなあ」という思いが日増しに強くなっています。
司法修習の、弁護士事務所での現場修習のときに、教官の先生から、「あなたは主語を省略する癖があるね」と言われたことがあり、それ以来、いわゆる5W1Hには気をつけています。このブログもそうかもしれませんが、一般的に、法曹界の人々の書くものは、完全性を求めるあまり、長くなる傾向があります。判決書なんて最たるモノです。
英語であれば、主語は冒頭にきますので、主語が必要な文で、主語を省略するということはあまりないというか、できないのではないでしょうか。日本語の場合、古来より、主語を省略することは当たり前に許され、高校時代に苦しんだ「源氏物語」など、すんごく長い1文の中で、主語が何度も変わることがあります。世界の名作の思い出が、苦しく苦い受験勉強とはなんとももったいない..
あとは、年月日(when)の省略ですね。相談者の頭の中では、事実のストーリーはできているわけですから、たいてい、初めてお話を聞く方は、どこかでwhenとwho(主語)を省略します。話を聞く弁護士にとって、対抗要件の例なんかそうですが、時系列はとても大事です。相談者のお話を妨げたくないと思いつつも、つい、「それはいつのことですか?」と聞いてしまいます。
債務整理の話に戻って。
事務所では、依頼人との連絡には主にLINEを使っていますが、ときどき、解釈に頭を抱えるメッセージに出会うことがあります。債務整理では、登場人物は、依頼人と金融業者くらいですので、たいていは時系列関係です。
解釈に悩む場合として比較的多いのが、事務所への一部だけの入金があった場合のその余の入金、あるいは、その後の入金です。事務所のシステムでは、自動的に、一部の入金があったときには、過去の予定入金日の中で、入金のなかった新しい日から自動的に充当されます。依頼人の要望をお聞きしていると、この充当で悩むことが結構あるのです。
LINEの場合は、特に、代名詞が使われるときです。借金の返済については、長い返済途中でいろいろな予期しなかった事情が生じるので、「今月は○円しか払えません」といったご連絡がよくLINEに書かれます。借金の返済については、4種類の日にちが問題になります。事務所への入金については、「入金予定日」と「実際に入金した日」、事務所から業者さんへの返済については、「返済期日(予定日)」と「実際に返済した日」。依頼人の中には、「今月の支払は1万円減額してもらって、来月、1万円を追加して支払います」という書き方をする方が比較的多いです。これは、事務所への入金サイドの話ですが、そのときに私が悩むのは.... 時々、「今月」と「来月」が、予定日のことか、実際に入金する日かわからないときです。例として、毎月末が事務所への入金日で、事務所から業者さんへの返済日が翌月の10日である方がいたとします。この前提で、この方の3月末の入金予定が10万円だったとした場合、既に、3月末には事務所への入金ができず、4月3日に3万円の一部入金があったとします。そうすると、もう4月に入っているわけなので、1万円減額する「今月」の入金が、3月末予定の入金のことか、4月末予定の入金のことか、依頼人の書き方にもよりますが、一見してわからないことがあるのです。依頼人の予定入金額と予定日は、システムに入力しないといけません。わからないときには、依頼人にLINEで確認します。案外、こういったことで時間を使って、結局、その日は債務整理しかできず、終わらせるつもりだった準備書面がまったく書けなかった、ということもありました。
こんな経験を通して、日本の裁判関係の文章のお作法は、よくできているなあ、ということを痛感しました。後で使う言葉には定義づけをする(これは英語でもそうですが)、直前と同じ年月日だったら、同日ということばをつかうなど。日本語の特徴として、代名詞の多用ということもあるのかもしれませんが、裁判関係の書面の形式面で、債務整理と同様の悩みをもつことはほとんどありません。
そう、「原則として代名詞は使わない、使うときにはわかるように工夫する」ことが依頼人とのミスコミュニケーションを避けるためには必要なんですね。
かなり前のことになりますが、友人と、「○日は、○レストランで12時に食事をしようね」と約束をしたことがありました。
私の方が職場が近かったこともあり、12時前に着きました。そのレストランは結構な人気店で、12時を過ぎるとすぐに満席になります。そこで、私は、着席して待っていることにしました。
しかし、いつまでたっても肝心の友人が現れません。10分くらいたったころでしょうか、彼女が、レストランのエントランスの前で待っていることに気付いて、事なきをえました。
この程度のことでも、ミスコミュニケーションは生じるのです。弁護士は言葉の商売、このときのことを思い出して、依頼人は素人なうえに、過怠約款に抵触でもしたら大変ですので、本当に慎重に表現をしなければならないなあと考えました。
その結果、私の依頼人へのLINEは、一見してひどく長いものになりましたとさ。