「聞こえるけど聞こえない」不思議な世界:娘の発達障害と理解への願い | umetarouのブログ

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「あれ?今、呼んだよね?」

 

 

娘にそう声をかけると、きょとんとした顔で「え?何も聞こえなかった」と返されることがあります。確かに、すぐそばで声をかけたはずなのに。まるで別の世界にいるみたいに、娘の耳には届いていないようなのです。

 

 

11歳になる私の長女は、発達障害を持っています。診断を受けてから、様々な特性があることを知りました。

その中でも、私たち家族を悩ませることがあるのが、まるで「聞こえている時と、聞こえていない時がある」ように見える症状です。

 

もちろん、聴力検査では異常はありません。「聞こえている」はずなのに、特定の言葉や状況下では、まるで耳に蓋をされたかのように反応が鈍くなる。あるいは、全く聞こえていないように見えるのです。

 

これは、娘の発達障害による特性の一つだと理解しています。注意機能の偏りや、情報の処理能力のアンバランスさが影響しているのかもしれません。本人は決してわざと無視をしているわけではありません。むしろ、聞こえなくて困っていることの方が多いのです。

 

しかし、家族とはいえ、この症状を完全に理解するのは難しいと感じることがあります。「さっき言ったばかりなのに、どうして聞いていないの?」と、つい語気を強めてしまうこともありました。後で後悔すると分かっていても、その瞬間、どう接していいのか分からなくなってしまうのです。

 

ましてや、他人から見れば、ただの「話を聞かない子」「わがままな子」としか思われないでしょう。学校生活や集団行動の中で、娘がどれだけの誤解を受け、困った状況になっているだろうかと思うと、胸が締め付けられます。

 

娘は、悪気があって周りに迷惑をかけているわけではありません。彼女なりに一生懸命、周りの状況を理解しようと、コミュニケーションを取ろうと努力しています。ただ、その方法が、私たち多数派の人間とは少し違うだけなのです。

 

「聞こえるけど聞こえない」という一見矛盾したこの症状は、発達障害を持つ子どもたちの中には、決して珍しいことではないと聞きます。しかし、その実態はなかなか理解されにくいのが現状です。

 

 

例えば、以下のような状況が起こり得ます。

  • **特定の人の声や、小さな声が聞き取りにくい。**騒がしい場所では、必要な音だけを選び取ることが困難な場合があります。
  • **注意が向いていること以外の情報が入ってこない。**目の前のことに集中していると、周囲の呼びかけに気づかないことがあります。
  • **言葉の意味を理解するのに時間がかかる。**音としては聞こえていても、内容を理解し、反応するまでにタイムラグが生じることがあります。
  • **感情的な言葉や抽象的な表現が理解しにくい。**言葉の裏にある意図を読み取ることが苦手な場合があります。

 

これらの特性は、日常生活の様々な場面で困難を引き起こします。学校の授業中、先生の指示を聞き逃してしまう。友達との会話で、タイミングを逃してしまい輪に入れない。家庭内でも、ちょっとした連絡事項が伝わらず、誤解が生じてしまう。

 

 

娘を見ていると、周りの人との間に見えない壁があるように感じることがあります。彼女は懸命に手を伸ばそうとしているのに、その手が届かないもどかしさ。私たち家族も、どうすればその壁を取り払えるのか、日々試行錯誤しています。

 

この症状を広く知ってもらうことは、娘のような子どもたちにとって、生きやすい社会を作る第一歩だと信じています。

 

もし、周りに

「なんだか話が通じにくいな」

「何度も同じことを言わないと理解してくれないな」

と感じるお子さんがいたら、もしかしたら、その子も「聞こえるけど聞こえない」という困難を抱えているのかもしれません。

 

 

その時、頭ごなしに叱ったり、責めたりするのではなく、少し立ち止まって考えてみてください。もしかしたら、その子なりに精一杯頑張っているのかもしれません。

 

 

理解するためには、まず「そういうことがある」という事実を知ることが大切です。そして、その子どもの特性に合わせたコミュニケーションの方法を模索していくことが求められます。

 

例えば、話す時は、できるだけ静かな環境で、ゆっくりと、短い言葉で伝える。視覚的な情報を活用する(絵や文字で示すなど)。重要なことは、何度も繰り返し伝える。そういった工夫で、コミュニケーションがスムーズになることがあります。

 

もちろん、全ての子どもに同じ対応が有効とは限りません。一人ひとりの特性を理解し、寄り添う姿勢が何よりも大切です。

私自身、娘のことで悩むこともありますが、彼女の純粋な笑顔や、一生懸命な姿にいつも励まされています。彼女の持つ可能性を信じ、共に成長していきたいと思っています。

 

 

このブログを通して、少しでも多くの方に「聞こえるけど聞こえない」という症状について知っていただき、発達障害を持つ子どもたちへの理解が広がることを願っています。そして、娘のような子どもたちが、安心して自分らしく生きられる社会になることを心から願っています。

 

もし、同じような悩みを抱えているご家族の方がいらっしゃいましたら、決して一人で抱え込まないでください。支援団体や専門家など、頼れる場所は必ずあります。そして、私たち家族も、微力ながら、同じように悩む方々の力になりたいと思っています。

いつか、娘が周りの人たちと、スムーズに心を通わせることができる日が来ることを信じて。そして、そのために、私にできることを一つずつ、続けていきたいと思っています。