絆 | うめぽDD「川栄李奈さん・椿彩奈さん・STU48」推し!

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原則として、毎朝 ブログ記事を投稿しています。

前のブログ記事の予告どおり、「絆」と題した作文を お届けします。


なお これは フィクションです。

実在(同名)の人物とは 一切関係が ございません


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ここは 都市近郊の住宅街。

都内に勤める 平凡なサラリーマン家庭の話である。


「まだ 沙希は帰ってきていないのか。」

残業を終え 帰宅した山田隆弘は、妻芳子に一人娘の所在を問うた。

「沙希はお友達のところで・・・」と、芳子が言いかけた言葉を遮るように、

「もう わかった、わかった。また『友達』か。何でもかんでも友達 ってわけか。

便利な言葉 だよな。」

投げやりな言葉を妻に投げつけて、室内へ向う隆弘。


隆弘は 部屋に入って一人佇んだ。

いつから こんな状況になったのか。自分に問うてみた。


娘の沙希が小さいときはこんな状況じゃなかった。

ごく普通に家族の団欒があって、妻も娘も身近な存在だったし。

特に「絆」を意識していたわけではないが、あの頃は家族に絆 があったな。


沙希が高校生になり、携帯を持つようになってから状況が変わってきたかな。

だから俺は、あいつが携帯を持つことに反対だったんだ。

娘との会話が減り、妻との会話も減ってきたようだし。

でもな。 俺は昔と何も変わっていないんだぞ。


午後十一時を過ぎ、隆弘は娘の携帯に連絡を入れたが、返信がない。

やむをえず 隆弘は、妻芳子に頼んだ。

「おい。俺は沙希に嫌われているようだ。 あいつ、返信をよこさねえからさ。 お前が 沙希の携帯に連絡してくれ。」

こんなやりとりがここのところ繰り返されている。



翌日、隆弘は職場の先輩である鈴木大造と飲んでいた。

隆弘にとって、鈴木は公私ともお世話になった恩人である。


「山田君のところの娘さん。沙希ちゃんだったっけ。 元気かい?」

にこにこと話しかける鈴木に、少しばかり難しい表情を見せる隆弘。

「どうも最近、娘との距離が開いてきたみたいです。絆が薄れてきたというか。

高校生って あんなもんですかね。

自分で言うのもなんですが、昔はよく可愛がっていたんですよ。」


一通り 隆弘が話し終えるまで、沈黙を守っていた鈴木であったが、ようやく重い口を開いた。

「そうか。沙希ちゃんも成長したわな。 それで山田君も ようやく『家族の絆』に悩むようになったか。

子供が年頃になってくるとな、妻とも会話が減っていたりして、寂しさを感じることもあるわな。

でもな。 山田君のように娘さんが小さいとき、何本も何本も『家族の絆』を繋いでおくとさ、今のように 絆の何本かが弱くなっても、基本部分は大丈夫だよ。

心配するなって。 もっと離れた位置から沙希ちゃんを見てあげなよ。」



先輩の鈴木から励ましの言葉を貰い、隆弘は帰宅の途についた。