無肥料栽培はどの様な果樹でも可能なのか? | 梅の里自然農園便り

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「自然農」の田畑の様子と、「自然農」の世界を中心にお伝えしていきたいと思っています

前日の投稿内容に関して、友人から、
「無肥料栽培はどの様な果樹でも可能でしょうか?無肥料とはそのまま何も与えないとゆうことでしょうか?」という質問をいただきました。
せっかくなので、こちらに書かせてもらいますね。

正直なところ、すべての果樹がその一生において、全国どこでも無施肥がいいかというと、そうでもないと思います。
なので、結論から言うと、果樹の種類、生育期間、その畑の環境によって臨機応変な対応が必要だと思います。
あんまり参考にならない答えですみません。

ちょっと具体的に書くと、梅は果樹の中でも樹勢が強い方ですが、それでも初期は無施肥だと少し厳しいところがあるように思います。
ただ、うちも中山間地の棚田と元々の梅畑を改植したところ2か所で若木を植えて植えて育てていますが、3年たって比較してみると生育状況にかなり違いが出てきています。前者の方は無施肥でも十分な生育をしています。

また、柑橘類でも、八朔などの中晩柑に比べると温州ミカンの方が肥料分がいるように思います。(なので、うちは八朔やレモン、三宝柑、ポンカン、バレンシアオレンジといった中晩柑を主に植えてきています。過去の記事参照)

ただ、川田建次さん(本名道法さん)によると、温州ミカンとかでも最初から無施肥でも大丈夫だと言われていますし、実際園地の見学に行った時にしっかり育っているのを見たこともあるので、園地の状態によっては無施肥での栽培も可能だとは思います。(ただし、特に初期は独特の栽培方法があります。)
ちなみに、道法さんの切り上げ剪定はとても理に適っていると思うので「自然農の果物づくり」でも引用させてもらいました。でも、少ししか紹介できていないので、原典のこの著作もかなり参考になると思います。(他に「現在農業」とかでもシリーズ記事を書かれたりもしています。)→http://p.tl/kiUD


ところで、写真の畑は2年半前からお世話をしている友人の梅畑で、20年以上になる成木です。

その前年まで従来の方法で栽培されていたのでかなり施肥されていたようで、初年度は隣の列に植わっている10年生ぐらいの若木にはびっしりカイガラムシが付いていたので(一部歯ブラシでこすり落としたりしました。)、思い切ってその年から無施肥にしました。それで、カイガラムシはほとんど見られなくなりました。
去年はフェアリーベッチという緑肥作物を蒔いたところ、今度は若木の方にアブラムシがかなり付いたので今年はそれもしていません。これで、アブラムシの方も軽減されることと思っています。(こちらは新梢がのびる時期にならないとわかりません。)

ただし、こちらの夏場の酷暑と乾燥は半端ないのですが、この園地は潅水もしてやっていないので、木によってはだいぶ樹勢が落ちているものも見られます。

うちは他の園地も成木は基本無施肥ですが、完全に枯れたりはしないまでも、他の慣行栽培と比べると、樹勢が落ちたり、枯れ枝が多かったりする木が見られたりはするので、施肥をどうするかは樹の様子を見ながらの対応が必要だと考えています。

もちろん、施肥をするかどうかだけではなくて、緑肥作物の活用とか、敷き藁とか、夏場の潅水をどうするかとか、他の作業との兼ね合いも大事なような気がします。
無農薬無化学肥料栽培はもとより、不耕起栽培が基本の自然農の場合、ちゃんと栽培方法が確立している慣行栽培以上に園地や樹の状態を観る目を養い、ちゃんと程よい手助けをしてあげれる力を身に着けていくことが大切だと思っています。

そうそう、よかったらこれも参考にしてもらえたら嬉しいです(^◇^)→http://p.tl/Giye




P.S.こちらは師匠(川口由一さん)の畑のミカン。

数年前の「妙なる畑の会全国実践者の集い」の時に苗木が数本植わっているのをみて、正直なところ、『ほんまに無施肥で実がなるような木に成長するんかいな!?』と半信半疑でした。(師匠、すんません(;´・ω・))

でも、去年も今年もしっかりと実を付けているのをみて、自然農の畑の豊かさを改めて実感しました。

ただ、温州ミカンの場合、実がなりはじめるとかなり初期からコンパクトな樹形にまとまってしまうと思うので、早くに木を大きくしたい場合は最初の2~3年間は道法さんが指導されているやり方で管理した方がいいような気はします。                                                                        
ちなみに、毎年 この果樹園の木々の根元ではバラ蒔きされた大根とかの冬野菜が清々しい姿で育っています。
まさにこの世の楽園を感じさせてくれる畑で、僕も大好きです。 
うちもこんな畑に出来たらと思っています!(^^)!