祐樹前から同じクラスで気になっていた優子をどうやって、

今度の町内で行われる花火大会に誘うか思案していた。



夏休みに入りめっきり、通常では出会えない事をは分かっていたが、

さてどうするか、夏休み入ってから宿題よりも大きな課題だった。


部活はサッカー部、丁度花火大会の2日前に練習試合が


自分の学校で行われたので、これを上手く誘うとしていた。



早速祐樹はメールを打った。


「明後日の5日の、内の学校で練習試合があるんだ。

 良かったら見に来てくれない?いや、忙しかったら

 無理しなくていいから。」


こんなんで、本当に来てくれるのだろうか…


メールを打ってからかなりの後悔をしたが、時は既に遅し。。


昼前に送ったメールは返事もないまま、丁度夕飯時をむかえ、

階段の下から、母親が


「祐樹、ご飯よぉ~。」


の声だけが、むなしく自分の部屋に響いた。


そんなときだった。


ようやくメールを受信。


優子からだった。


「へぇ~そうなんだぁ~そういうえば一度も、祐樹の試合見たことないから、

 暇だから行ってあげるねっ!笑」


優子らしい、返事だったが、飛び跳ねて危なく

ベッドのスプリングを壊す勢いだった。


夕食は麻婆豆腐。


ご飯の上に、一気のその麻婆豆腐を乗せて、口へと一気に

かきこんで、勢いよく外に飛び出した。


「ちょっと練習いってくるわぁ~。」


がぜん、試合では変な所は見せられない。

普段もやらない、自主練にへと勝手に力が入った。




翌日は練習をいつも以上に力が入った。

祐樹のポジションは、ハーフ(ボランチ)で、攻撃も守備も

しなくてはならない、ポジションだった。


練習終わりに、携帯を開けた。


「明日試合頑張ってよ!ちゃんと試合してよぉ~~プンプン


なんで怒ってんだか分からなかったが、

メールを貰ってテンションはかなり上がった。


「おう、まぁ~チャンとみていてくれよぉ~アップアップ



試合当時は、あいにくの雨だった。

そんな中でも傘を差して来てくれた。


試合は、まるっきりといっていいほどいい所なしで、

辛うじて、送ったパスが運良く見方のメンバーが

拾ってシュートして入った1点だけだった。


『これじゃぁ~、あわせる顔ないなぁ~』


そう思っていたが、試合後、身支度をして、

部室を出ると、優子は友達と待っていてくれた。


「なんだぁ~全然いいとこなしだったねぇ~。」


「そういうなよぉ~。でもまぁ~ホント来てくれた

 嬉しかったよ。」


ぽろっと本音を出してしまった。


その時の優子の顔が少し、赤らんだのを祐樹は

見て、ますます嬉しくなった。


『ここはチャンスだ。』


「良かったらなんだけど、今度の花火大会皆で

 一緒に行かない?俺も友達誘うし。」


優子と優子の友達は顔を見合して、

くすくす笑いながら、答えてくれた。


「いいよ!じゃぁ~私たち二人だから、

祐樹ももう一人さそってよねっ。」


「おぉ~、いいよ、じゃぁ~また明後日な!

 待ち合わせは、海岸どおりに行く、神社の鳥居の下で、。」


少しの奇跡が起きた。


こういうときはやっぱり攻めに行かなくては。

なんで、こうやって試合も積極的に出来なかったんだろうと

今更になって、試合の事を悔やんだ。


翌日と翌々日はつまりは花火当日は

練習もなかった為、一人で祐樹は


祐樹は


祐樹は”チュー”の練習ばっかりしていた。


『まだ付き合いもしてないのに、何でこんなことばっかり』


そう思いつつも、いい想像しかしない自分がいて、

かなり馬鹿げていたが、本当にそういう場面に

なったらと考えるといても経ってもいられなかった。



当日は、運がいいのか、昼から快晴だった。

丁度夕暮れになる、18時に待ち合わせをした。

去年、ばあちゃんが拵えてくれた、浴衣を着て、

勢いよく家を飛び出した。


こういうときだけ1番乗りであった。

次に、昨日急に誘った、祐樹の友達が合流した。


そして、遠くから見慣れた顔の二人が現れた。


一人は青い花柄の浴衣で、頭はしっかりかんざしを挿して

結っている姿がはっきり見えてきた。


優子だ。


友達もかわいい紫の、金魚柄の浴衣だったが、

そこには残念ながら、目が向かず、花柄が

祐樹の目の中で何度も、咲いた。


「めっちゃ、綺麗なぁ~。」


変な日本語すら出てしまうほど、第一声で思わず出た言葉だ。


「そぉ~少しは女としてみてくれるかしら、うふふふ。」


それにしても本当に綺麗な姿でますます、胸の高鳴りを抑えれられずには

いられなかった。


「ほんじゃあ行こうかっ。」


花火は最高潮に盛り上がった。

海岸通りの花火は昨年見た以上に、目に焼きついた。


花火は静かに幕を閉じた。


海岸から、鳥居のある、先まで4人で横一列になって、

話しながらあるいていたが、途中で人の多さにまぎれて、

二人二人に分かれた。


これ運良く、ずっと優子の隣に陣とっていた祐樹は

二人になれた。


先を行く友達を見ながら、少し歩の進みを遅くした。


遠ざかるのを見ていた優子はたまらず、


「早くいこうよ。」


声を掛けたが、祐樹は


「ゆっくりいかない?」


少し真剣な表情で行った祐樹の言葉が、

優子に届いたのか、少し驚いた表情になった。


いそがすあまり、優子は祐樹の浴衣の裾を

引っ張っていたが、その優子の手を

祐樹はすっと、下に伸ばし、手を掴んだ。


「待ってよ。」


いとも自然に振舞ったが、優子はそれに気付き、

人ごみの中、顔を合わしてはくれなかった。

左に祐樹、右側に優子がいたが、

優子はぞっと右側の方ばっかり

見ていた。


「なぁなんで、こっちみてくれないんだよ。」


「別にぃ~。」


いいながらも、絡んだ手は離れない。


ぐっと力を入れて、祐樹は優子を引き寄せた。

優子も力が入り、肘を曲げたがそれが反動となり

お互い、正面を向き合うカタチになった。


「えっ。」


「ん?。」


先に声を出した優子はびっくりした。

祐樹も後ろから、押し出される様な状況から

更に、二人の距離は密接なものとなった。


『チャンス』


「こんな状況で、悪いんだけど、俺優子の事好きだから。」


「えっ、えっ、えっ。」


又驚きをおもむろに出した。

優子は目を潤ませていた。


「なんで、こんな時にそんな大事な事をいうのよ。」


いつものように、少し怒りながらも泣きながら、両手をグーにして

祐樹の胸を何度も何度もたたいた。


「だって言いたかったんだから仕方ないだろ…。」


あくまでも自然に行ったのだが、悪い癖でぶっきらちょうに

出てしまったのかもしれない。


「なぁ~、好きだから。それだけ。」


そして、祐樹は優子に、優しく口にkissをした。


長く感じたが、時間的にはほんの2,3秒。


「好きだから。」


「……………。うん。。」


優子はそれだけいって、泣きながら祐樹の元から離れて

駆け出した。



直ぐ祐樹も追いかけたが、人の多さに追いつかない。

最後にはとうとう、見失ってしまった。


「俺悪い事したかなぁ~。」


結局その日は一人で帰った。



翌日メールをしたが、優子からの返事はなかった。


何度も何度もメールをするのに気が引けて、一度だけにした。

そんなもんもんとしながら、過ごした夏休みは淡い思い出と共に

終わり、2学期の始業式は始まり、教室に向った。


『まず謝ろう。』


そう心に決めて、教室に入った。


いつもは早い、優子が来ていない。


いなかった。担任が入ってきても、優子はとうとう現れなかった。


『なんでだ、そんな重い出来事だったのか…』


更に悔やんだ。


隣に居た、友達に聞いた。




「なぁ、何で今日、優子来てないんだ?」





「お前しらないのか?

 優子引っ越したんだ。夏休み中に。

 なんか急に決まっていたらしくてな。俺もさっき聞いた。」







9月に入り、多少は和らぐ日差しも、お構い無しに照りだし







今日は一段と、暑く感じ、生暖かい風が教室を吹きぬけた。




















桜の木の下で、大学入学から、意気投合した二人の男女。


同じサークルという事と、同じ専攻で何かと一緒に彰と真奈美。


2年生の春、新歓コンパで花見の席取りを命じられた二人。


というよりも、命じられるようにしたのは、彰だった。


サークルの会合。


「新歓コンパで、今年は花見コンパをしたいと思いますけど、

その席取りやってくれる人いないかぁ~!!」


リーダーの声がかかり、彰はチャンスと思い手を上げた


「あっ自分やりますよ、それでも一人ではちょっと不安なので、

 誰か一緒に来てくれる人が居ればいいんですけど…。」


「そうか、彰やってくれるかぁ~ありがと!んじゃぁ~もう一人は

 女子だなぁ~、真奈美やってくれるか!。」


「えっ、私ですか、いいですけど…。」


少しもじもじして応えた真奈美だったが、少々この時は面倒だと

思っていた。


実は、彰は事前にリーダーにお願いをし、真奈美を指名してくれるように

お願いをしてあったのだった。



花見席取り当日


公園の一番の見晴らしのいい、大きな桜の木の下で陣取った。

丘の上で公園内でも一番いい場所を取った。


準備をしだした二人、


シートを広げて、ふわっと舞うシート


抑える真奈美の反対側には自分がいる。


抑えきれない気持ちがあふれ出てくる。



シートを広げて、角を押さえて、二人寄り添う様に

座った。


「俺、なんか飲み物買ってくるよ!何がいい?」


「そうだなぁ~紅茶で、。」


「ミルクティーだねっ。」


「うん、何で分かったの?」


少し驚いた真奈美だったが、直ぐに笑顔に変わった。



買って戻ってくると、桜の下からずっと木を眺めていた。


その顔がなんともいとおしく思えた、彰だった。


『だめだ、やっぱり言わなくては。』


彰は決心した。


「おぅ、じゃこれな。」


紅茶のペットボトルを開けて渡して上げた彰。


「ありがとう、開けてくれるなんて。」


「いいよ、これ普通だろう?」


『嫌な奴なら、少し毛嫌うはずだ。でも、受け止めてくれた。』



彰は思いきった。


「真奈美って、今彼氏いないって言ってたけど、あれ本当?」


「うん、本当だよ、大学入学してからねぇ~、全然だめ。

 どうしてそんな事聞くの?」


『おっ、聞き返してくれた。これはもう少し自分の想いを

 しっかり伝えなければならない。』


「うん、なんか急にじゃなくて、前から少しづつ気になりだして

 来ているっていうか、そういう感じなんだよなぁ~。。

 だから、今回こうやって二人で準備して、二人っきりになったのは

 偶然でも、こうやっているとなんかやっぱり自分の気持ちが

 抑えられない気分になって…。」


静かに真剣に聞く、真奈美。

ぐっと息を呑む


「だから、今日で確信した。


好きなんだって。


真奈美の事が。このまま友達でもいいかなと思って悩んで時もあったけど、

自分の気持ちは今の気持ちだし、言ってもダメであっても友達のままで

居られると正直思えたから、


告白しちゃった。」


真奈美の瞳を見られないままでいた。


お互いがまっすぐ見つめ、丘の上から眼下を見下ろしていた。



「うん、ありがとう、そうやって真っ直ぐ思っていてくれたこと、気持ちは

 凄い嬉しい。でも、ごめん正直、今は直ぐ答えられない。

 恋愛対象として見ていなかったし…。」


「大丈夫、急な事だし、考えてもらいたいけど、そんな答えを急がせても

 悪いから。いつでも、いつでもいいんだ。」



その1週間後、真奈美は彰と付き合う事となった。


急な告白は時として、好転に行く時と、ダメになる時とあるが、


タイミングと相手の事をどれだけ想えるか。また相手が


少し好意的に思ってくれているかどうかで、


これで成功するか、しないかは決まるのではないかと…








~Situation第1話終了~




徴兵令が出された、当日の朝はそんな事も露知らず、


一樹は平然とし、学校へ向った。


この頃はまだ20歳でも、教育機関に属していれば、


徴兵される制度はなく、第二次大戦の末期には学生達主に


文科系の大学生が、徴兵された。


理科系の大学生は、兵器の開発などに必要不可欠とされ、


猶予されていたものの、戦争機器の研究所に配属された。


学徒出陣まであと4年まで来ていた