「お名前と、電話番号・住所はいえる?」


 優しい声で隊員の方が、話しかけてくれた…


 横目であいつは携帯で話をしているが、どうやらうちの母親らしい…


 私と隊員の会話が聞こえないのか、そんな素振りもみせてくれる”あいつ”は本当に頭にくる


 そうこうしている間に、スピードを上げて、病院に着いた。


 意識がしっかりしている自分だったので、すぐCTに連れて行かれ「輪切り」にさせられた。


 頭も以上もなく、体の部分も平気だったので、縫わずにそのまま強い接着剤で閉ざされた


 まぶたの上は、ものすごい窮屈だったが、これで治りが早く、傷もないのであればいいかと思った


 お医者さんは続けた


 「誰にやられた?…あっ先生は申し訳ないが、少し席をはずしてくれるかな…」


 監視をしてると感づいたお医者さんはさすがだったが、渋々”あいつ”が出て行くわけもなく


 「いや、大事な生徒の病状を聞くのは私の務めですから…。」


 と平然に装い、顔がこわばったのを私は見逃さなかった。


 「いや、これは、プライベートな事だから、いくら先生でも、私と患者さんの守秘義務があるから…


 いいから、出て行きなさい…」そこで、初めて声を強めたお医者さんは、にらみを利かせた。


 「わかりました…。」


 やっと出て行った。


 「さて、どうしてやられて、どうなったのか?教えてくれるかな?勿論言いたくない事はいいから


 一番はこれを聞く事は心の問題だけなんだよ。だから、話せることだけでいいからねっ!」


 優しい声は、一層まして、心がホンワカしたのを確実に覚えている。



 小さく、ゆっくり話し始めた。たぶん、”あいつ”はドアの向こうで、壁に耳をつけてきているはずだから…




すぐさま、「相手方の監督さん」が救急車を呼んで頂いた。


 ”あいつ”は相変わらず、その場から離れず携帯で電話をどこかにしていた。


 担架に運ばれつつ、私は副将の西に「あと頼むねっ!」と声をかけただけで、


 静かに目を閉じた。


 目を閉じた瞬間”あいつ”から、「おい目を開けてみろ!」


 血がで、顔中が覆われている最中で、救急隊員の方が一生懸命治療している中だ。

 「なんでですか?」


 私は抵抗気味の口調で返した


 「いいから…」


 顔を血でだらけの中、血だけはふき取り、ぱっくり開いた右目の上を、


ぎゅぅっと割れた皮膚を


 指でつまみ、その接合部分をばんそうこうで、


むりやり貼り付けた。


 「あっこれでいいので、会場に戻してやってください。」


 私はこの状態で戻れという、”あいつ”の感覚がやはり、信じられない。


 でも、自分も縫い目がまぶたにできるのは、いくら私も女性なので。

 
 流血がとまりかけていたので、大きな心配はなかったが、念の為と救急隊員が


 頭に障害が残ると危ないのでと、すごく誠意のある救急隊員で少しほっとした

 


 そのまま緊急で病院に向かうことになり、”あいつ”も渋々乗り込んだ…


 救急車は消したてて、夏の静かな街路樹を走り抜けた。




 
 家には電話は?そんな気配がないまま、病院へと急いだ…

体育館は蒸し暑さで、息も詰まる暑さであった。


 招待校の部員が元気良く挨拶するので、私達も大きな声で返した。


 早々に、キャプテン同士の試合計画を立てて、5試合する事にした。


 その5試合の中で、1年生試合が2試合、2年生試合が3試合と交互に入れた。

3校のリーグ戦にし、長い1日になりそうだ…


 1試合目はさすがに、1年生試合。”あいつ”は興味なさそうで、私がほとんど仕切りを行い、

なかなか白熱した内容で、1年前の自分と重ね合わせながら、


自分の様に見守った。


 2試合目は私達の試合だ。


 最初という事で、現レギュラーメンバーでの最強メンバーを組み、いざ試合へ


 なかなかのう攻防線で、均衡した点の取り合いになった。


 アタックから拾いに拾い、セッターに返し、レスト、ライトにトスを流す。


 バレーは試合中の判断で、いかようにも攻撃パターンを変えられるのでいかに相手が


 ついてこれないトス回しと、アタックを仕掛けるかが、見せ所だ


 第1ゲーム終了間じか、私はドリブルと、ホールディングの2つの反則を犯した。


 自分の判断でタイムアウトを取った。



 そのときだ、体育館の壇上で、遠くから罵声が聞こえた


 「それでも、キャプテンかぁ~ お前が足引っ張ってどうするんだぁ~」


 ”あいつ”の声が館内中に響き渡り、他校の生徒もびびりまくりになった。


 さらに…ものが飛んできた。ガラス製の灰皿だ。


 勢い良く飛んできた、灰皿は生徒の間を抜けて、1人生徒がかわし丁度、


 私の顔面を直撃した。


 右上のまぶたを激しくきり、一瞬の打ちに目の前が黒くなった。


 血で視界が遮られたのだった。


 何が起きたのか分からなかったが、手で確認して血が流れているのを確認が出来た。


 「キャーーーーーッ」


 後輩達が一気の声を上げたので、一時騒然となり、皆が駆け寄ってくれたが、


 ”あいつ”は 微動だすらせず


 その場から不適な笑みを浮かべながらこっちを見ていた…