「お名前と、電話番号・住所はいえる?」


 優しい声で隊員の方が、話しかけてくれた…


 横目であいつは携帯で話をしているが、どうやらうちの母親らしい…


 私と隊員の会話が聞こえないのか、そんな素振りもみせてくれる”あいつ”は本当に頭にくる


 そうこうしている間に、スピードを上げて、病院に着いた。


 意識がしっかりしている自分だったので、すぐCTに連れて行かれ「輪切り」にさせられた。


 頭も以上もなく、体の部分も平気だったので、縫わずにそのまま強い接着剤で閉ざされた


 まぶたの上は、ものすごい窮屈だったが、これで治りが早く、傷もないのであればいいかと思った


 お医者さんは続けた


 「誰にやられた?…あっ先生は申し訳ないが、少し席をはずしてくれるかな…」


 監視をしてると感づいたお医者さんはさすがだったが、渋々”あいつ”が出て行くわけもなく


 「いや、大事な生徒の病状を聞くのは私の務めですから…。」


 と平然に装い、顔がこわばったのを私は見逃さなかった。


 「いや、これは、プライベートな事だから、いくら先生でも、私と患者さんの守秘義務があるから…


 いいから、出て行きなさい…」そこで、初めて声を強めたお医者さんは、にらみを利かせた。


 「わかりました…。」


 やっと出て行った。


 「さて、どうしてやられて、どうなったのか?教えてくれるかな?勿論言いたくない事はいいから


 一番はこれを聞く事は心の問題だけなんだよ。だから、話せることだけでいいからねっ!」


 優しい声は、一層まして、心がホンワカしたのを確実に覚えている。



 小さく、ゆっくり話し始めた。たぶん、”あいつ”はドアの向こうで、壁に耳をつけてきているはずだから…