二人は店をでて、そのまま家路に着いた。
時折みせた、寂しそうな表情の鈴木を思い出しながら、
明日しっかり行く道を作ってあげなければ…
翌日も練習試合を備えて、激しい練習になった。
徹底的に基礎から行い、レシープ、トスとミスを極力なくす
練習に終始明け暮れた。
練習後、鈴木を読み出して、私たち真由美、鈴木と3人で
「バニー」に向かった。
話すことは唯一つ、これからのことだ。
私たちはいつもの様にジャンボパフェを頼み、口を私から開いた。
「鈴木、いい、よく聞いてね。今からはあなたの判断と、今までの経験が必要なの。
だから、困ってとまったりしても全然構わないから、よく聞いてね。」
「はいっ、分かりました。」
「先ず第一に親に話せるか。第2に、おろす事は決まっているんんだけど、それでいいか。
第3に親に話さなければ、隠しとおせるかなんだけど、どう?」
「ん~…、えっと、先ず親に言うのは無理です。一人っ子だし、そんな話しを聞いたら
卒倒してしまうと思います。」
真由美が続いた。
「そっかぁ~…。ん~で、おろすにしたら、費用が必要だけど…これはどう?」
「えぇ~一応自分の中でも、決めていたことなんで、知り合いのお医者さんにお願いを
しております。なので、もれることはないと思いますけど。」
なんとこの子はしっかりしている。ん~すばらしいと関心してしまうほどだった。
「じゃあ、お金は?一応ねぇ、あなたの許可をもらってからにしようかなと
思っていたんだけど、カンパをしようかと真由美と相談をしていたんだけど…。」
「いや、その必要はないです。その気持ちはありがたいんですけど、これは自分の事なんで、
知り合いの医者にお願いをして、必ず返すという約束で、今回は貸しを作りましたので。」
「ん~そうなの?でも、それくらいは私たちにもできるわよ、遠慮はしないでねっ。」
真由美がフォローに入った。
「遠慮はしてないです、現にこうやって相談にも乗って私の事を真剣に考えてくださって、
それだけで十分です。で、お金の事までは…これは大丈夫です。」
「うん、分かった。じゃあ、それで行きましょう。いいかな鈴木。」
「はいっ、ここまでしてくれましたので、ありがとうございます。」
というか、ほとんど自分で決めている、その事を言おうとしたが止めた。
本人の並々ならぬ、決心だったと思うから。
「でも、あなたは強い。次期キャプテンだね。ねっ、あきこ。」
「そうだね、でも、まだまだこれからよ。決めて、おろしてからどう心境が変わるか、分からないし、
この事を他のミンナにばらしちゃいけないからね、分かった、真由美。あなた口が軽いから。」
「は~いぃ、あははははは。」
深刻な話なのに、ここまで笑える3人って何か変かな。でも、このことで、これから急に結束力が
固まったというのは言うまでもない。
元々レギュラーでやっていた、私と真由美。それに、1年生から頭角をだして、
期待の新人1年生の鈴木。これは中学校から評判で、
背も高いし、顔も可愛いし、勉強も出来る。
素直な子で、この事が相当応えているにもかかわらず、しっかりと芯を持っている。
たいした子だと、改めてみなせられた。
それにたいして、私はいつもいじいじして、自分ばかりを責めて、傷をつけている。
情けなさが一気に膨れたが、ここでくじけるわけには行かなかった。
話し始めて10分くらい、決着は思う以上に早く付いた。
そこで、待望の「ジャンボパフェ」が登場して、3人でむさぼりついた
。
真由美が一番でいつもたえあげるが、今日は鈴木が一番に食べきった。
時折、食べている最中も安堵感なのか、涙を隠しながら。
その事が私にも嬉しく、私も泣いてしまった。
それをみた、真由美も涙した。
「もらい泣きしちゃったんじゃないのよぉ~」
といいながら、顔にクリーム一杯つけながら。
いいなぁ~こういのって、改めて乗り切った感触がそこにはあった。
でも、これからだ、鈴木本人は手術を盆休みに当てていて、2週間休みを取った。
その後一人ではいさせるのに気が引けたので、手術が行われる、場所まで行くことにした。
せっかくの夏休み。部活をしているとどうしても、少ない夏休み、今年は少し
羽目を外すことにした。
夏休みも丁度1ヶ月を切った、夕涼みにはもってこいの一日だった。