夜は何ヶ月かぶりに静かに、ゆっくり寝れたような気がする。


 夢を見た。



 ここは多分公園で、二人は池にある周りを仲よさそうに散歩している。


 相手が誰だか分からない。


 でも、首の辺りしか見れないんで居ると思う。おもむろに相手の目を見て
 話せない自分。


 意識する異性には昔からそうだった。
 意識しない相手には全然、同姓と同じようにしゃべれるのに…


 話しをしている、とにかく楽しい話だった。
 中身はというと、結婚したらどんなとこに住みたいとか、
 子供の名前は何がいいかとか、普通に付き合っていれば
 多分誰でも話す内容が多かったのではと、勝手に想像する。



 そんな他愛もない話しの夢は突如として場面は変わる。



 急に空港内の空間になり、私はイメージの中の彼にお別れを告げに来た。
 
 「すぐ帰るから。」


 の彼の声に何度も、嗚咽をあげながら私は泣きじゃくった。
 夢ともしらないままで…

 彼は優しくこうも言った。
  


 「その優しい心で、何人もの救える人になってな。」



 なんだか、全然私の事を言われてないように感じる。
 それでも嬉しかった。


 そこで夢は終わった。


 夢の中での自分は誰なんだろう。


 今の自分とは比較しても、想像できない。
 なんで、ああいう夢を見たんだろう。




 「あきこぉ~早く起きなさい、何時だと思っているのぉ~。」



 慌しい母親の声で、現実に戻された。



 また、いつもの毎日の始まり。


 今日は、昼からの練習で、すこし余裕があったが


 練習メニューを実践的に考える必要があったので、ちょうどよかったのかも…

 
 起きると、洗面所に向かう前に子機をつかめて、ベルを打った。


 勿論あいては、ユメトだ。


 「オハヨウ。キノウハオソクマデアリガト」



 一文しか打てない苛立ちはない、繫がっている気持ちだけを
 心動かしていた。


 あいたい…


 そう素直に思える、自分に今はとても喜びを感じられるようになっていたのも


 彼のおかげかも知れない。


 色々な出会いのなかで、まだ17年しか生きていないけど、とても衝撃な


 出会いになったのは間違いない。


 展開は遅い方だが、着実に芽生えている彼への気持ち。
 

 絶対に私は今、恋愛をしている。それが片思いであったとしても。


 でも言われようのない、本当の恋愛だ。


 その事を早く誰かに言いたかった。

 早く伝えたかった。


 バカ正直な私が、包み隠さず言いたい気持ちであふれている。

 今の気持ちを大事にしようと、気持ちを固めた朝になった。


 意気揚々と、朝食の席に着いた。

 これから、真由美に連絡をして、話しを聞いてもらわないと



 気持ちのいい1日が始まった。




帰りは22時を過ぎていた。

明日から8月で残り1ヶ月勝負だった。  


この夏をいかにうまく乗り切ることが秋への大会に繫がる。  


なんとしてでも自分らの代で、全国へが大きな夢でもあり、近い現実だ。  

夢とは必ずかなえられる為にあり、かなえられないのであれば寝て見る夢と同じ。  


今は、自分の目標が夢とイコールであって欲しいと願う。  


何気なく改札をくぐって、いつもの様に定期を取り出すと…  

急にベルが大きく振動した。 

いつもと設定は変わらないのだが、その時は大きく動いた感じがした。  



「コンバンワ、オゲンキデスカ、コノアイダワアリガト!」  


わぁ~と叫びたくなる様な感じだったが、思わずにっこり微笑んで、  

キオスク隣の公衆電話へと急いだ。  

もう、自宅近くの駅だったので、もう少し大丈夫だろうと、打ち返したあと、  


公衆電話のなる公園と急いだ。  



「アリガト、ソウイエバ、ナマエキイテナイ」  



カタカナの文章がこれほど温かみを覚えるなんて、初めての衝撃だった。  

また、鳴った。  



「オレユメト。キミハ?」 

「ワタシハアキコ…」  



公園に着いたやりとりがそれだけだったが、

何回も読み返してはにやける自分は バカかと思うくらいだったが、

小さな幸せかもしれない感覚を覚えた。  


公園の帰りは早かった。

家に着くと、速攻食事も取らずに、部屋に閉じこもり、 子機をいじくりまわしていた。  



「イマカエッタヨ」 

「オカエリ、キュウデワルインダケド」 

「ン、ナニ?」 

「コンドマタアエルカナ?」  



急な展開で、とまどいながら、子機を小刻みに揺らせた。  



「エ、イイケド、ナンデアイタイノ?」 

「リユウハトクニナイヨ、アイタイダケ」  



前にもなんか、こういったやりとりをした記憶を読み返した。 

「理由はない」この一言、好きになる感覚と同じだ。 


でも、本当に自分なんかでいいのか。

こんな汚れた体でいいのか、そう葛藤した。 実際に聞いてみた。  



「ホントウニワタシナンカデエイイノ?」 

「ワタシナンカデナンテ…コチラコソ」  



なんでだろう、会いたいのはお礼だけ、それとも話しをしたいだけ、珍しいだけ。 

そんなことを頭がぐるぐる駆け巡った。  



「アタシナンカアイタイノナンテヘンノ?」 

「ソウカナヘンカナ?」  

「イツアイテイルノ?」 

「マダワカラナイ、シアイトカモアルシ」 

「ジャアシアイミニイクカラワカツタラオシエテネ!」  



えぇ~私の試合見に来るのぉ~めっちゃどきどきして、試合どころじゃなくなる。

でも、少し嬉しいかもとなんか、素直に喜べない自分がいた。


こんなやり取りをして、12時を過ぎたので、

優しい彼らしく、彼から言い出した。  



「キヨウハドウモアリガト。オヤスミネ!」

「コチラコソ、アリガト、タノシカツタ」  



うきうきする気持ち、生まれて初めてだったかもしれない。 


このどきどきは何だろう。  


あした、真由美にでも相談しよう。 でも、鈴木のことも気にかかる。  


複雑な心境は、糸の様に絡み付いている。


一つ一つの糸はどこまで絡みつくのだろうか?




  結局、”あいつ”は身辺整理でこの休み期間中で荷物をまとめていた所に


 自分は運悪く、出くわしてしまったということだった。


 どこまで、運が悪いのか。そんな奇遇さへもうらんだ。


 最終は自分を恨むんだが。


 車のドアを開け、乗り込む時、


 ちょうどそのときに、後ろから声がかかった。


 久下先生だった。


 良かった。助かった。必死で懇願する、目線を送り、先生も感じとってくれたみたいだ。



 「お前、何やっていたんだ。ずいぶん探していたんだぞぉ~!」



 「ごめんなさい…友達としゃべっていた。」



 嘘の演技をしてくれて、とても嬉しかった。




 「あれ、どうしたんです、嶋田先生。といってももう先生ではありませんが…」


 「ええぇ、身辺整理をしていて、ちょうどこいつに出くわしたので、駅まで送ろうかと…」


 「そうでしたか、私と一緒にこれから試合のメンバーきめをしなくてはならなくて。

  いいですか?」

 
 助かった。本当に助かった。ありがとうと、大きな声で叫びたかった気分だ。


 確実に、またいつもの調子で、つれられて、私は人形の様になってしまったいるところだった。



 「それじゃあ、お元気で…」

 


 車は立ち去り、いつまでライトをつけずに走る車が妙ににくく思え、怒りさえわいてくる。



 その怒りを相手に、伝えることも出来ない自分の弱さも一緒に。



 「さて、お前はこんな時間に出歩いちゃもうだめだぞ、さっと帰り。来週は強豪チームと

  交えるんだから、それに集中して…」


 「はいっわかりました。もう帰ります。」



 わざわざ久下先生は、私達の為、コネを使い他県の強豪チームとの練習試合を組んでいただいた。


 その気持ちは耐え難い、期待と喜びに変わっていた。


 なぜか、自然とやる気が沸いてくるから、本当に不思議で、頼りがいのある先生だ。


 人を信じる事、これ以上に大事だと教えてくれた人でもあった。



 
 先生と別れて、一人駅に向かった。


 見慣れたはずのこの街の風景もなぜか、今日は違う街並に見える。


 これは、心境とイッショなのだろか。まるで、異空間に来た様に思える。


 心と体は見えない、糸でつながり、自分を構成する。


 その体はいう事を聞かず、時には暴走を繰り返す。



 原因が分かれば、いいのだが、その知識も教養もない。だから、混乱するのだ。



 自分は誰なのか。



 自分というのを、わかる人はこの世の中に知っている人はどれくらいいるんだろうか。



 自分という人を好きな人はどれくらいいて、悩みを何個持てば大きくなれるんだろう。



 悩みを持っていなそうに、見えて、実は多く抱え込む人はどれくらいいるんだろう。



 隠し通す事に意味はあるのだろうか。隠しても、それがどのように解決するんだろうか。




 方法や手段は一杯存在するんだろが、それが分かる手立てを誰か教えて欲しい。



 こんな苦しい、思いは沢山だ…




 この時期から私は、胸は急激に発達し、体重は逆に10キロもやせてしまっていた頃だ。