
(写真は本文と無関係ですが、クリックされ
ましたら拡大します)
某書からです。
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「それからね、私と彼、また二軒もはしごしちゃったの。
そうしたら二軒目で私の高校時代の友達のB子に会った
のよ。
あら、B子の事まだ話した事なかった?
B子はいつも数学の成績が悪くて、私がいつも宿題を
代わりにやってあげてたのよ。
そのB子がすっかりファッショナブルに格好つけちゃって、
『パピヨン』のカウンターで飲んでいたの。
でも彼女の連れている男は、私の彼より2ランクぐらい下
だったから、彼女ったら早々に引き上げていったの。
それで私と彼は未だ飲み足りなくて、今度は赤坂の
会員制クラブに行ったのよ。
彼、そこでも顔なの……。」
いやはやA子さん、殆ど息つく暇も無く、C子さんを
相手に昨日の彼とのデートの様子を逐一報告して
いるみたいだね。
さっきからC子さんがあくびをかみ殺しているにも
全然気がつかない様子。
およそ1時間20分も経過した頃、A子さんが目の前の
ケーキに取り組み始めたのを機会に、やっとC子さんは
口を挟んだ。
「私ちょっとA子に聞いて欲しい話があるんだけど……。」
「あら、どうしたの?」
「うん、実はうちの課長が何だか私に妙な気があるみたいで
とても嫌なの……。」
「まあ、いやらしい。
でも大丈夫よ、私も前の会社で専務からアプローチされて
たのよ。
だけど結局中年男性なんて勇気がないから、時々お食事に
つきあってあげるぐらいで満足するものよ。
私ちょっと水心あるふりを見せただけで、エルメスの
バッグを買ってもらっちゃったの。
ほら、あの黒い四角いバックよ。
私もう、前の会社辞める予定だったから、もらい得よ。」
とこんな風にしていつの間にか、C子さんの相談に乗る
はずが、A子さんの話は買ってもらったエルメスの
バッグの話しにすり替わっていた。
すぐに人の話の腰を折って、あんまり自分ばっかり話して
いると、まずお互いの間の友情や愛情なんて育つはずないね。
C子さんにしてみたら、結構深刻に困っていたのかもしれない
のに、ちっとも真剣に聞いてくれないA子さんには愛想を
つかしてしまっただろうね。
きっとC子さんは、翌日もっと親身になってくれる他の
友達に会いに出かけたに違いない。
そして今度A子さんが本当に困っている時が来ても、
「もう、うんざり。A子はああいう人だから、悩みだか
ノロケだかわからないわ」
と表面はともかく、内心は冷ややかな気持ちでつきあう
ようになってしまうんだ。
おしゃべりの場面でいつも自分中心でなければ気のすまない
あなた……これは立派に人から嫌われる不幸への必要充分
条件ですぞ。
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これは80年代後半に書かれたものですが、実際に人と
出会う場合だけでなく、ネット上の匿名掲示板
上でも同様の状況を見ました。
割合的には女性的思考の持ち主に多いように思い
ますが、話題をいつも自分の個人的な話しに
結びつけてしまい、自分の個人的な話や悩みばかりを
主張する一方で、話題の流れや他の人の話題提供を
妨げてしまっても毎度全く気に留めないような人を
時折見かけます。
そしてそうした人の場合、最初はこの話のA子さんの
ように気兼ねなく自分の事を語り、他の人は自然的に
聞き手に回っていますが、一定の時が過ぎた後は、
むしろそこでの邪魔者として扱われていました。
しかしそうした人の大抵は、そのように率直に言われ
ても理解出来ない事の方が多いようです。
しかしこの話しを読んで、わたくし自身も色々なやり
取りの中で自分中心としてとらえている所がないか、
少し考えてしまいました。
またこのA子さんの、
「だけど結局中年男性なんて勇気がないから、時々
お食事につきあってあげるぐらいで満足するものよ。」
の言葉、人や場合によって必ずしもそうとは言えない
ように思います。
わたくしの体験では|強制終了|
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日本的な笑いより、どちらかと言えば西洋的な笑いの
感覚に近いように思いますが、わたくしの特に好きな
作品です。
「Stick Figures On Crack」
http://www.youtube.com/
watch?v=-Qb1OpKdhkQ&mode=related&search=
http://www.youtube.com/
watch?v=xwOXOHPk1Yw&feature=active_sharing