音の再生と音楽の再現(2022/12/15) | umedastyleなAV生活

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竹スピーカーKaguyaの情報、開発裏話など、時には、脱線することも

私は子供のころから、音楽を聴くのが好きで、同時に物を作ることが好きでした
小学生の頃、レコードを聞くのは小さな簡単な電蓄、と言ってもわからない人がいるかもしれない
レコードを乗せるターンテーブルの横にスピーカーとアームがあって、持ち運びできるようになっている
兎に角、レコードを再生できると言うだけで、ハイファイと言うのとは程遠い
その頃から簡単なゲルマニュームラジオを組み立てたり、最終的には5年生の時に真空管ラジオを作りました
原理など理解は出来ず、結局は父に直してもらって音が鳴るようになりましたが

中学生になって、初めて買ったLPレコードは、ビゼーのアルルの女
高校生で初めて買ったジャズのレコードはハービーマンのメンフィスアンダーグラウンドでした
大学では電子工学を専攻、その頃、ジャズ喫茶は一番落ち着く場所でした
卒業研究は音響研究室で無反射終端(音が反射しない壁)をやりました
卒業後は音響メーカーの技術研究部に勤務しました

そういう私が、いつも思ってきたことはオーディオと言う趣味と音楽を聴くと言うことが必ずしも一致しないと言うことです
オーディオの趣味は泥沼、と言われます
ミニコンポや少し、高いコンポを組み合わせて好きな音楽を聴く
それで満足していればよいけれど、お店や他のところで違うものを聞いた時、低音がすごく迫力あったり、高音が気持ちよく伸びていたり、「自分のとは違うな、好きな曲をこんなので聞いてみたいな」
あるいは、雑誌などですごく評判が良くて、そういうオーディオ機器に買い替えたくなります
欲しいと思っていたものが手に入ったときは、それで気持ちよく聴いているのですが、しばらくすると、また、新しいのが欲しくなる
これがオーディオの沼です
オーディオ機器は何を変えても音は変わります

音を聴いていると、その違いが気になってくる
音の違いを確認するために、いつも聴いているCDなどの音源で聴き比べをします
その場合、何を聴いているかと言うと、音楽ではなく、音を聴いているわけです
人は、特に比較試聴するときは全ての音を聴いているわけではなく、その人が一番気になる音に集中して聴きます
音楽を聴いているわけではない
結果的に、気になる音が良くなれば、音楽全体を聴いた時にも良くなると言うことはあるかもしれません

趣味ですから、音を楽しむという趣味もあっていいわけです
しかし、音を楽しむと言うことと音楽を楽しむと言うことが必ずしも同じではないと私は思うのです

多くのオーディオメーカーの製品は音をよくする努力をしています
音源ソースを出来るだけ忠実に出力する、最終的にスピーカーから音を出す
しかし、音楽を聴くためにはそれだけでは十分ではない
音楽を聴くのは人だからです
人は耳から入った情報を脳で処理し、感じます
音にだけこだわったスピーカーで音楽を聴くためには、そのセッティングが重要になってきます

一方、全方位スピーカーKaguyaは音場を作ることを一番に考えて設計しています
音像を作る、その場に演奏者がいる様に、音が出ている場所を感じる
音像がはっきりすることによって、全体の音場が出来る
例えばコンサートホールで演奏された無伴奏チェロの曲があったとします
音像が出来ると、そこに演奏者が居るのを感じるだけではなく、壁や天井に反射した音の音像も感じることが出来ます
コンサートホールの天井の高さ、奥行き、広さまで感じることが出来るのです
そして、音像を感じることが出来た時、人は、そこに演奏者がいると感じますから、その演奏の細部まで感じることが出来る
たんに音を聴くのではなく、音楽を感じることが出来るのです
全方位スピーカーKaguyaは音楽を再現するスピーカーなのです