クリスマスに雪は降るの? | キネマの天地 ~映画雑食主義~

キネマの天地 ~映画雑食主義~

レンタルビデオ鑑賞日誌



(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

クリスマスに雪はふるの? [DVD]/ドミニク・レイモン
¥6,825
Amazon.co.jp


内容:心に傷を負った母親と子供たちの姿を描いた感動ドラマ。片田舎で暮らす母と7人の子供たち。日々、夫の営む農地で働く彼女たちだったが、夫にはもうひとつの家庭があった。彼の横暴に耐えながら子供たちを庇う母親は、クリスマスにある決心をする。(Amazonより)


▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲



はい!昨日はクリスマス・イブという事で一応クリスマス映画を観ましたよー♪

1996年製作のフランス映画「クリスマスに雪は降るの?」です。





舞台は南仏プロヴァンス。とある農家の夏の風景。そこでは母親(ドミニク・レイモン)と7人の子供達が畑仕事をしている。一見ごく普通の家族だが、実は父親(ダニエル・デュヴァル)には正式の妻が別におり、畑仕事が終わるとその家に帰っていくのだった。時々子供達は父親の本家の畑仕事も手伝うが、居心地は悪かった・・・(goo映画より)





とある貧しい家族の物語です。


南仏プロバンスのとある農村。7人の子供を抱えるママ(ドミニク・レイモン)は、

パパ(ダニエル・デュバル)の農場で毎日へとへとになるまで働いている。

パパは子供達の実の父親だったが町に正妻がおり、夜になると本家へ帰っていく。

ママと子供達が暮らす家にはストーブも無く、まだ年端も行かない子供たちも

畑仕事に駆り出されるなど幸せな生活では無かったが、それでもママと子供達には

他に行くところも無かった…というお話。



まずこの作品、ジャケットから想像されるような「可愛らしくて心温まる映画」でも

無ければ、例えば「ポネット」のような「可愛いけど哀しい映画」でもありません。

主人公は7人の子供とロクデナシの情夫を抱えて苦労の絶えないママであり、

ファンタジーとは正反対の極めて現実的な物語が淡々と展開されていきます。

説明的な描写を排除し出来事をそのまま映し出していく叙事詩的な作品であり、

ハッキリ言ってクリスマスに家族や恋人と観るような作品では無いですね、

まぁその点ワタシのような者にはうってつけとも言えますけれども―。(・ω・)/ ←



情夫の横暴に日々耐えがたい思いを抱きながらも、時折示される愛情と幼い子供達を

抱えてはどこにも行けないという現実問題によって結局我慢するしかないママ。

この辺の葛藤が非常に生々しくてリアルなんですよね、さんざん男のDVに遭いながらも

どうしても縁を断ち切れない女性の心理って、きっとこんな感じではないでしょうか。

・・・しかし冬も間近に迫ったある嵐の晩、ついにママの忍耐の限度を超える決定的な

出来事がおこるのでした・・・



やがてクリスマスが訪れ、物語は佳境に入ります。

もちろんネタバレになってしまうのでここから先は言えませんが、その結末は

紛れも無く“聖なる夜”にふさわしいものでした。“それ”は実利的にはなんの足しにも

ならないかも知れないけれど、たしかにひとつの奇蹟を招くんですよね。

余談ですが、ちょうど昨夜は私の住む町でも同じ現象が起きてました。年末の忙しさで

ヘトヘトになっていた私にとって、「うん、明日も頑張ろう」と気持ちを新たにするのに

十分な力を持った作品でしたよ・・・(゚ーÅ)




総評。

甘く美しいクリスマスの夜を過ごしたい場合には全くもって不向きなクリスマス映画ですが、

私のように「あーあ、今年のクリスマスもなんにも無かったなー( ̄Д ̄;;」って方には

ちょうどいい作品。非常に余白が多い映画なので好みは分かれると思いますが、

ワタシは好きですね、コレ。

ってワケでオススメです!