牛田智大さん グリーグピアノ協奏曲 in 小平(2022.12.3)(コンサート情報あり) | 耳をすませば

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2022年12月3日(土)15時開演

新日本フィル フレッシュ名曲コンサート

新世界より

(指揮/坂入健司郎)

ルネこだいら(東京)

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最後に牛田くんのピアノを聴いた日からちょうど1ヶ月前の11月3日。

 

 

 

 

長かったなあ、1ケ月。

 

 

 

 

 

 

 

前日の夜、ちょっと大変なことがあって

 

もう行けないだろうと諦めてたんです。

 

 

 

でも、行ってくることが出来ました。

 

 

よかった…(T^T)゚。

 

 

 

 

 

 

 

だけど時間も心も余裕がなくて

 

この日は朝から秒単位で動くような慌ただしさでした。

 

 

 

チケットを見て時間を確認したら午後3時開演。

 

 

よかった。なんとか間に合いそう。

 

 

 

オーチャードホールの時みたいにプレトークとかあったりしないよね?

 

と、チラシも確認したけど大丈夫そう。

 

あの時は、才女壇ふみさんのトークを聞き逃しちゃったもんなあ。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホール前の巨大ポストは大人気でした。

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家族全員で代わる代わる記念撮影してる様子が微笑ましい♪

 

 

 

 

 

 

 

 

私がここに来るのは3回目。

 

 

1度目は、2019年11月。チケ取りに。

(でも、コロナで中止)

 

 

 

2回目は去年の3月のリサイタル。

 

 

 

 

 

 

 

ルネこだいら 大ホール

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チケットは完売御礼

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指揮者の坂入さんとの共演は、今年4月の山梨に続いて2回目です。

 

 

 

 

 

 

 

大ホール(1229席)

(画像お借りしました)

 

 

 

 

 

 

プログラム

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♪ ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」

 

♪ グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調

 

~ ~ 休憩 ~ ~

 

♪ ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調「新世界より」

 

 

 

 

 

 

おっ、裏面の坂入さんが水玉だ。

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会場に着くとヴァイオリンの音が。

 

 

最初 館内に流れてるBGMかと思ったのですが、ホールの中から聴こえてくる。

 

 

 

男女4人のオケのヴァイオリニストがウェルカムコンサートをされてました。

 

 

知らなかった…(^^;)

 

 

 

 

男性の一人が 葉加瀬太郎さんに似てるなと思ったらコンマスでした。

 

 

 

 

 

スタンドカラーの黒い上着で登場した坂入さん。

 

 

この方、独得の雰囲気をお持ちで笑顔に色気がある。

 

若い頃のコロッケにちょっとてる気がする…って言ったら失礼かしら?(^^;)

(あとで思ったけど、藤井隆さんにも…)

 

 

 

 

 

 

 

1曲目の謝肉祭が終わり、舞台中央に運ばれてきたスタンウェイ。

 

 

真っ黒でピカピカでツヤツヤで 

 

見慣れてるはずなのに、黒光りするピアノに見とれてしまいました。

 

 

 

 

 

 

ピアノがセットされ、オケの団員が着席して

 

牛田くんが登場するまでの短い時間

 

息苦しいくらいに胸が高鳴って

 

自分がどれだけこの瞬間を待ちわびていたのかを実感しました。

 

 

 

 

 

 

登場した牛田くん。

 

 

メッシュの名残のある栗色の髪色がとってもいい感じ。

 

どこがどうって言えないのだけれど

 

なんだかとっても洗練された空気を纏っています。

 

 

なんだろう。

 

また一歩、遠い世界に足を踏み入れた人。

 

そんな感じ。

 

 

手には白っぽいタオル。

 

 

 

 

 

 

 

たちこめる暗雲のようなティンパニーよりも

 

ほとばしる滝のような最初のピアノのフレーズよりも

 

 

その次の 地底から轟くような左手の低音が印象的でした。

 

 

そしてキラキラと反射する 水面のきらめき。

 

一気にマイナスイオンで満たされていくみたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無機質なくらい装飾のないホールの印象からなのか

 

余裕のない自分の心のせいなのか

 

艶やかなピアノに魅せられたからなのか

 

この日私の頭の中に広がった色は黒でした。

 

 

 

 

 

色がない。

 

まるで水墨画を見ているみたい。

 

 

 

 

 

 

なぜか浮かぶのは震災のイメージ。

 

 

ついこの間、震災をテーマにした映画『すずめの戸締まり』を観たばかりだからかな。

 

 

 

 

 

 

ピアノを「弾く」と言うよりは

 

まるで触れていないかのような牛田くんのタッチ。

 

気功のように手を動かすだけで、自在に音を操っているかのよう。

 

 

もう牛田くんとピアノが一体化して

 

「語り部」として、知らない世界、忘れてはいけない世界を見せてくれているみたい。

 

 

 

うっとりすると言うよりは、足がすくみそう。

 

震えるような畏怖の念。

 

圧倒的な自然の迫力。

 

 

 

 

 

ひとつの壮大な物語の映画を見ていたようで

 

すっかり世界に引き込まれ

 

第一楽章が終わった瞬間 うっかり拍手するところでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二楽章

 

 

オーケストラが奏でた音楽は

 

まるでビロードのような夜の空。

 

黒蜜のように とろりと広がる闇。

 

 

 

 

ピアノの最初の一音を効いた瞬間

 

暗い夜空に光る星を見つけたような気がしました。

 

 

南十字星。

 

行き先を教えてくれる道しるべ。

 

 

迷子になっていた心が ホッと救われたような気分。

 

 

 

星の光を音にしたら、きっとこんな音色なんだろうな。

 

目を瞑ると 目の前に広がる満天の星。

 

プラネタリウムみたい。

 

ううん、これは大宇宙。

 

 

 

なんて自分はちっぽけなんだろう。

 

なんて世界は完璧なんだろう。

 

 

だけどきっとこれでいい。

 

足りないことや、かっこ悪いことだらけだけど

 

これで十分。

 

なにひとつ間違ってない。

 

 

うまく言えないけれど、そんな安堵を感じました。

 

 

きらきらと牛田くんの指からこぼれる星の光の粉。

 

繊細で 儚くて 静謐で

 

だけど確かで揺らぎないこの世界。

 

 

 

 

ずっとこのまま身を浸していたい。

 

 

この時間がずっと続けばいいのに…。

 

 

 

 

 

最後の一音は、小さな小さな命を手のひらに乗せて

 

息を吹きかけているような優しさとあたたかさでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

第3楽章

 

 

切り立つ黒い岩。

 

躍動。

 

 

厳しく長い冬を越え

 

雪溶けの水が

 

朗々と歌いながら走っていく。

 

 

鍵盤を撫でるように流れる牛田くんの指は

 

嬉しそうに踊る薄黄緑色の春の妖精。

 

 

 

 

 

私の場所からは マエストロの姿も見ることができましたが

 

時々振り返ってソリストを見る坂入さんの表情は真剣そのものでした。

 

 

その都度、まるで水に潜る瞬間の潜水隊のバディのように

 

肩で息をする二人の呼吸が一つになっているのが分かりました。

 

 

 

 

 

ボーンボーンと時を告げる振り子時計のような左手の低音が

 

一枚一枚ドアを開けていくように

 

展開していく生命の賛歌。

 

 

 

厚い大地と自然の包容力。

 

抱き込むような無限の宇宙。

 

 

大胆なのに繊細で

 

透き通った一音一音は

 

唯一無二の雪の結晶みたい。

 

 

 

ああ…。

 

 

前回グリーグを聴いてから まだそんなに経っていないのに

 

牛田くんのピアノは、さらに磨き上げられています。

 

ピッカピカでダイヤモンドの輝きです。

 

 

 

 

息をするのも忘れるような独奏を聴いていたら

 

ふいに

 

「留学」

 

の2文字が頭に浮かびました。

 

 

その瞬間、抑えていた蓋が開いてしまったみたいに

 

言いようのない寂しさがなだれ込んできました。

 

 

 

 

わかってた。

 

いつかはこんな日が来るって。

 

 

これからだって牛田くんのピアノは聴ける。

 

牛田くんがさらに世界を広げていくことは素晴らしいこと。

 

 

あれ?じゃあなんだろう。この感情は…。

 

 

 

 

 

揺れ動く心の琴線を

 

さらに激しく揺さぶる音の波。

 

 

何度もCDやYouTubeでグリーグコンチェルトを聴いてきたけれど

 

こんなに極上の演奏に出会ったことがない。

 

 

 

 

 

 

私はやっぱり、牛田くんのピアノを聴くために生きてる気がする。

 

毎日が辛いわけではないけれど

 

むしろ、充実していて幸せだけど

 

 

こんなふうに 椅子に身を沈めて 舞台の上で輝く牛田くんを見ながら

 

牛田くんの音楽に包まれる時間を待ちわびて

 

この幸福を繋いで生きている。

 

 

そしてきっとこれは私だけじゃない。

 

同じ思いで暮らしている人が沢山いる。

 

これからは 世界中にそんな人達が きっとどんどん増えていく。

 

 

「彼のピアノを聴くために生きている」

 

 

世界中にそんなファンを持つピアニストに

 

牛田くんは きっとなる。

 

 

 

ピアノの音がかき消されるくらいに

 

オーケストラも熱量を増して盛り上がり

 

息の合った見事なフィニッシュ。

 

 

 

振り返り、感極まったような瞳と笑顔で牛田くんを振り返った坂入さんの表情を忘れることが出来ません。

 

 

 

 

立ち上がり、肘をぶつけ合う二人。

 

拍手に湧く会場。

 

 

 

 

 

 

おめでとう。

 

おめでとう、牛田くん。

 

最高の音楽をありがとう。

 

 

 

ああ、本当に

 

今日、ここに聴きにくることが出来て嬉しかった。

 

 

 

 

 

晴れ晴れとした表情で 

 

挨拶する牛田くん。

 

前髪がかなり伸びてます。

 

 

 

 

カーテンコールでは

 

前髪を書き上げながら登場しました。

 

 

 

 

い…

 

 

イケメンもはなはだしいわっ!キラキラ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンコールは「樅の木」でした。

 

 

 

私はもう

 

涙を抑えることが出来ませんでした。

 

 

 

 

「静寂」という音楽。

 

 

彼の奏でる孤独な世界観が

 

今の自分の「寂しさ」と重なりました。

 

 

 

夜の森

 

深く積もった雪の中に立つ

 

黒々と葉を繁らせた一本の樅の木。

 

 

広く厳しい大自然の中で

 

一粒の種が、芽を出し 枝を広げ 根を張って

 

大きな木になり やがて枯れていくまでの物語。

 

 

そんなこの木の一生を

 

知っている人は誰もいない。

 

見たことのある人もいない。

 

 

時々遊びに来るリスや小鳥。

 

彼らが短い一生を終えたあとも

 

いくつもの気の遠くなるような季節を超えて

 

森を見守り 誰も知らない森の歴史を知っている。

 

 

誰にも知られないまま

 

『孤独』を友のように愛したまま

 

枯れていく樅の木。

 

 

 

 

オケの団員の方達も

 

目を瞑って聴き入っていました。

 

 

 

 

最後の一音が、ホールの空気に溶けて静かに消えていく瞬間

 

マッチ売りの少女の灯した火が消えるように

 

束の間の物語を見ていたような気持ちになりました。

 

 

 

 

ああ、またひとつ

 

宝物の思い出が増えました。

 

 

 

 

ありがとう、牛田くん。

 

 

やっぱり牛田くんのピアノは最高です!

 

 

 

 

 

 

 

 

🌲   🌲   🌲   🌲   🌲   🌲

 

 

 

コンサート情報です。

 

 

 

 

2023年6月24日(土)14時開演

コンチェルト(パシフィックフィルハーモニア/指揮:飯森範親)

武蔵野音楽大学ベートーヴェンホール(東京)

♪シューマンピアノ協奏曲イ短調

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(^-^)ノ~~