牛田智大くんチャイコン in サントリーホール | 耳をすませば

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バレンタインの夜、行ってまいりました。

 

仕事の後、職場から走って走ってバスに乗り込み、電車を乗り継いで一路サントリーホールへ!

 

 

2019年2月14日(木)19:00~

読売日本交響楽団 第619回 名曲シリーズ

指揮:小林研一郎

ピアノ:牛田智大

サントリーホール

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プログラム

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♪チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23

 

♪ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 作品73

 

 

会場に着くと、舞台の中央には既にスタンウェイのピアノが置かれていました。

 

ピアノの横にはなにやらゴツいカメラが。

 

 

そして、オケの間を縫うようにして登場した牛田くん。

 

白い蝶ネクタイの燕尾服。

 

手には小さな黄色いタオルを持っていました。

 

深々とお辞儀をするとピアノの前に座り、椅子の横のつまみをぐるぐると回して、高さを調節し、

 

マエストロと視線を交わし、静かに頷きました。

 

 

マエストロがタクトを振り上げ、

 

「フッ!」という呼吸と共に始まった演奏。

 

その瞬間、ひとつのものを生み出すために、

 

オケが、ピアノが、会場がひとつになったのを感じました。

 

 

ああ、なんという極上の音色なのでしょう。

 

 

コロコロと丸い音色が転がって、ホール中に散りばめられていく。

 

オケの音色も素晴らしく、ピアノの音色と出会い、絡み合う様は官能的ですらありました。

 

牛田くんのピアノは凛として、とても信頼がおけるという印象。

 

今日の演奏は壮大なロシアの大地と、

 

そこに降り積もった深い根雪を溶かす強く温かな血潮のようなぬくもりを感じました。

 

 

ああ、春だ。花

 

一足早く、ここに春が来た。

 

 

牛田くんの音色は、清らかでまろやかで

 

キラキラと輝く小川の水面になり

 

宇宙に瞬く星になり

 

どっしりと揺るぎない大地になり

 

小さな羽を羽ばたかせ、水浴びをする鳥になり

 

連なる真珠の首飾りになり…。

 

 

まるで宝石箱をひっくり返したみたいでした。

 

ああ、夢の中にいるみたい。

 

 

チャイコフスキー、万歳!

 

 

専門的なことは何も分かりませんし、

 

ボギャブラリーの貧困な私には

 

とてもこの素晴らしい演奏を的確に表現する力がないのが残念ですが、

 

牛田くんは、ピアニストとしてさらに自信をつけ

 

作曲家と向き合い、自分なりの解釈、表現方法を見つけ

 

堂々とそれを披露してくれていると感じました。

 

 

カデンツァは胸がキリキリするくらい牛田くんらしくて

 

そこには、デビューしてから今日までの牛田くんのすべてが濃縮されているようで、

 

清潔さ、凛々しさ、気品と共に情熱に溢れ、

 

男性的な艶っぽさもプラスされて

 

いったいどこまで進化するの?

 

と、ちょっぴり寂しさを孕んだ喜びが胸いっぱいに拡がってきました。

 

 

そしてやっぱり私は牛田くんのピアノが好き。

 

大好き。

 

先日、雨の降る日、遠くまで歩いていく用事があり

 

イヤホンで牛田くんのピアノを聴きながら傘をさして歩きました。

 

憂鬱なはずの寒い雨の日が、幸せな時間に変わりました。

 

その時しみじみと思いました。

 

私には、牛田くんのピアノがあればいい。

 

本当はいろんな演奏家の曲を幅広く聴くのがいいのかもしれません。

 

だけど、私にはただ一人、牛田智大というピアニストがいてくれればいい。

 

 

 

私の座った席からは、牛田くんの背中と

 

魔法のように自由自在に動く指が見えました。

 

綺麗にセットされた髪が艶めくその後ろ姿に

 

侵しがたい威厳を感じました。

 

 

そして、コバケンさんの指揮は

 

ただただ愛に溢れ、

 

音楽と仲間に対するリスペクトを感じ、

 

小さな体をいっぱいに使って音楽を創り出すその様子は、

 

なんだか舞踏を見ているようで

 

音のあるパントマイムを見ているようで

 

とにかく見応えたっぷりで目が離せませんでした。

 

 

有能な(という言葉はあまりにも軽すぎる気がします)指揮者と

 

オーケストラと ソリストが揃ったとき、

 

そして、そこに、作品と作曲家への愛と尊敬が溢れている時

 

こんなにも素晴らしい世界が作り上げられるのか。

 

こんなにも幸福な時間をもたらしてくれるのか。

 

そのことに、ただひたすら感動しました。

 

 

演奏は盛り上がり、大きな波のうねりとなり、

 

牛田くんの両手が激しく力強く厚みを増しながら強く打鍵して

 

聴く者の胸にガンガンと音の楔を打ち込んで

 

オーケストラと共にフィニッシュ!

 

牛田くんは立ち上がると、マエストロの胸に飛び込むようにハグをしました。

 

 

途端に沸き上がる会場。

 

割れるような拍手と、あちこちから飛ぶブラボーの声!

 

ああ、本当は私も叫びたかった。

 

立ち上がりたかった。

 

その代わり、手が痛くなるほどの拍手を贈りました。

 

明日この手が使えなくなっていてもいい!

 

腕がもげてもいい!(もげないけど)

 

とにかく、私に出来ることは、あらん限りの力で拍手を贈ることだけでした。

 

 

ありがとう。

 

ありがとう。

 

 

ピアノの前に立った牛田くんは

 

片手を胸に当て、

 

2階席に、バルコニー席に

 

とても心のこもった丁寧なお辞儀をしました。

 

その表情は明るく、達成感と歓びに満ちているように見えました。

 

 

こんな演奏を聴かせてくれるソリストを

 

こんなにステージマナーの美しいソリストを

 

愛さずにいられる人がいるのでしょうか。

 

 

 

アンコールはショパンの『雨だれ』でした。

 

なんだろう。今まで聴いてきた雨だれと、何かが違う気がする。

 

何がどうとは言えませんが、

 

言葉にしてみるならばスケールが大きくなったというのか、

 

今までしとしとと降っていた雨が

 

いっそう強く激しく、けれどとても優しく、大地を潤すように。

 

仕事で疲れた体と頭に、その雨は降り注ぎ

 

すべてをまっさらに洗い流してくれるような快感でした。

 

そして最後は優しい祈りにも似ていました。

 

牛田くんが1音1音、魂を込めて弾いてくれた雨だれ。

 

とっても素敵なアンコールでした。

 

 

 

アンコールといえば、オーケストラのアンコール。

(すみません。時間がないのでブラームスについてはとばします(;^ω^) )

 

コバケンさんが聴衆に向かい、こんな感じの事をおっしゃいました。

 

「今日はカメラが入っていて、みなさん緊張されていたかもしれませんが、それがいい緊張感となって素晴らしい音楽になりました。

 

様々な想いで聴いていただきたいと思います。

 

ダニー・ボーイ。」

 

思わず拍手をしてしましました。

 

コバケンさんのアンコールで、この曲がとってもとっても聴きたかったんです!

 

先週の『ららら♪クラシック』をご覧になったでしょうか?

 

そう、この『ダニー・ボーイ』についてでした。

 

コバケンさんは、この『ダニー・ボーイ』をこよなく愛し、

 

よくアンコールで演奏されるとのこと。

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お父様が亡くなったその日も、この曲を演奏したそうです。

 

その時、オケの団員の方達が天に上る人の心のすべてを紡ぎとるように演奏してくれて、

 

それ以来、お父さんに会いたくなると、この曲を演奏するそうです。

 

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と、語る世界のコバケンさんの姿を見て、「独居老人?」と、失礼極まりないことを言ったのは夫のジャック。

 

貴様に分かってたまるか!怒

ご安心ください。ちゃんと成敗しておきましたピース

 

 

2年前、すみだトリフォニーホールで牛田くんと共演されたマエストロ。

 

そのときのアンコールも『ダニー・ボーイ』でした。

 

「今日は私の母が生まれた日です。

 

母は亡くなる時、僕に『研一郎、よくやったね』と言って旅立って行きました。」

 

と話されました。

 

その演奏は亡きお母さまへの想い、そして我が息子コバケンさんを想うお母さまの愛に溢れていて、

 

熱い涙を止めることが出来ませんでした。

 

 

今回の演奏も同じく。

 

温かな愛に包まれていて、あの時と同じ、熱い涙が頬を濡らしました。

 

 

アイルランドで生まれたこの曲。

 

戦地に赴いた我が子を待つ親の心情が綴られた こんな歌詞だそうですよ。

 

 

ああダニー バグパイプがおまえを呼んでいる

谷から谷へ 山腹を下っていく

夏は過ぎ去り バラは枯れ落ちてしまった

おまえはここを去り 私はここで待たなければならない

帰ってきて欲しい 草が青くしげるころには

そうでなければ 谷が雪で静まりかえるころには

日がさそうと陰になろうと 私はここにいる

ああダニー 愛しているよ

でもおまえが帰ってきたときに 花はすべて枯れ落ち

私が先に亡くなっていたら

私の眠る場所を探して

ひざまずいて私のために祈ってほしい

私の眠る土を踏むおまえの柔らかな足音で

私の墓はあたたかく心地よくなるだろう

ひざまずいて愛していると私に伝えてほしい

おまえが私のところに来るその日まで 安らかに眠れるだろう

 

 

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今回も、音楽は愛なんだと、コバケンさんに教えていただきました。

 

 

 

 

さてさて、皆さま、嬉しいお知らせです。

 

ピアノの横で牛田くんの演奏の様子をガッツリ写していたゴッツいカメラ。

 

この演奏の放送があるそうです。

 

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3月21日(木・祝)

午前2:29~3:29(水曜深夜)

 

日テレ地上波で見れますよー!(^O^)

 

奇しくもこの日は牛田くんの新譜発売後、

 

そして、みなとみらいでのリサイタルの日ではありませんか!

 

 

 

さて、ワタクシ、そろそろ仕事に行く時間になりました。

 

時間がなく、雑なレポですみませんむろたん

 

 

昨日の感動を胸に、お仕事頑張ってまいります!