温泉街でアート観賞 | 馬の会長日記

馬の会長日記

「馬の会」の会長“のみ”の気まぐれ日記。
競馬はもちろん、前に住んでいた新潟のこと、
今住んでいる埼玉のこと、趣味の旅行に、
アルビレックス新潟、グルメなどなど
その時思ったことを気ままに更新してま~す。

先日の3/24(日)、新潟の奥座敷と呼ばれる岩室温泉街で行なわれていた
「アートサイト岩室温泉2013」に行ってきました。

今年の3/6(土)~3/24(日)に行なわれていたこのイベントは、
和の情緒が溢れる温泉宿や店舗などに、個性豊かな近代アートが展示されるというもので、
2年に1度開催され、今年で6回目を数えるイベントです。

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そしてその各作品は東京の「武蔵野美術大学」の学生の卒業制作。

相方は何かとバタバタしていたので、息子と二人きりでいいお天気の中、岩室温泉街をアート散策です。

まずは「足湯」もある新潟市岩室観光施設「いわむろや」からスタート。

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ここでも岩室の方や学生のハンドメイド作品を販売する「いわむろアート屋台街」をはじめ
様々なイベントが開催されていて活気に溢れていました。

運だめしにそこにあった「鳥型のおみくじ」(50円)を息子が引いたら、なんと「大吉」!
大吉しか無いのかと思ったら、次の人は「小吉」だったのでなかなかいい日になりそうですねぇ♪

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ボクらはまずここで、300円で販売されている「入浴特典付きスタンプラリー」の冊子を入手。

これは、作品展示場所に設置されているスタンプを全13種集めると、
提携している旅館の温泉に1つ入浴できるという特典があります。

せっかく岩室温泉にきているのだから、温泉にも浸かって帰らなきゃね。
しかも、普段宿泊じゃなきゃ入れない宿の温泉にも入れるなんてお得♪

しかし、この日が最終日なので今日中に13か所全部回って、
温泉にも入らなきゃならないのでそんなにのんびりは出来ないぞ~。

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まずは、一番近くのはなやぎの宿「ゆもとや」へ。

「ゆもとや」には広いスペースが合って、多くの大きな展示がされていました。

息子がとっても不思議そうに見ていたのはその中心に合った、座る人の手と足だけのオブジェ。
この「在る」という彫刻科の学生の作品は、電車など他人と密着せざるを得ない時に、
身体と心を切り離してやりすごす人達に興味をもって、それを形に表したそうです。

それぞれの作品に、作者の制作意図が書かれていました。

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つづいての「すみのや」の玄関には不気味な人形がお出迎え。

この粗く削った発砲スチロールの「untitled」という作品は、そのタイトル通り見る人本人や
その人の中にある人のイメージを映し出しているのではないでしょうか?

って事は、ボクにとって人は「不気味」であるってことかな?

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次の、木のぬくもりの宿「濱松屋」にあった靴をお菓子に見立てた作品「甘い靴」が
美味しそうに見えたのか? 息子はいきなり作品に触ろうとしました。

気持ちはスゴいわかりますが、展示作品に触っちゃダメでしょう!

そういう危険性があるとわかっていたので、息子にはリードを付けての観賞です。

この作者は日頃から、なんでも食べ物に見立てちゃうクセがあるという食いしん坊さん。
それを視覚化したのがこの作品だそうですよ。

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ただし時には「触る」という事も作品の1つである物もありました。

「ほてる大橋」館の湯に展示されていた数々の顔は、空(から)の人だという「s/he」。

この無の人たちはどなたの顔を借りられという事らしく、
見る人にカブられる事によって、初めて生を受ける作品なのだそうです。

このお面を息子にカブせようとしたら、激しくイヤがったのですが、
それを見ていた学生がボクがカブった写真を撮ってくれました。

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背中には『開湯300年岩室温泉』の文字が描かれている
オレンジ色のスタッフジャンパーを着ているのがムサ美の学生です。

1713年、村の庄屋の夢にお告げがあり、そこを探すと1羽の雁が泉で傷を癒していて、
それが「岩室温泉」の開湯の始まりというよくある伝説です。

「北国街道」に位置し、旅人の疲れを癒したり、また「弥彦神社」の参拝者が精進落としをする
地として栄えたんだそうです。

今年は岩室温泉開湯300 年の年であり、ムサ美との交流10 年目となる記念の年で、
なんだか特別な雰囲気が漂っていますよ。

ちなみにこの「ほてる大橋」には「出張!ムサビコレクション」と題して、
学生の作品ではなくて、大学が保有する「名作椅子」の数々も展示されていました。

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次に向かったのは泉街の真ん中にある築200年以上の古民家「小鍛冶屋」こと「よりなれCaf??」。

ここは普段でも様々なイベントが行なわれているカフェですが、
今回この「アートサイト岩室温泉」の拠点の1つにもなっていました。

黒光りする柱や梁がゆったりとした空間の中にたたずむ作品をお茶をしながら鑑賞することができますが、
それ以外にも、学生による「ときめけアート似顔絵」(一人600円 ペア1000円)や、
「プチ造形ワークショップ」~モールアート~(300円)、
また名画の中に入って記念写真が撮れる「なりきり!名画写真館」(300円)など、
様々な志向を凝らしたイベントが行なわれていましたよ。

ここにもオレンジを着た学生がたくさんいましたが、学生は卒業生だけでなく
1年~4年生まで21 名が参加しているそうです。

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さて、次に行ったのは江戸の庄屋屋敷を今に伝える由緒ある歴史を誇る高志の宿「高島屋」。

ここは樹齢1000年を超える古代檜風呂や、長年に渡り将棋のタイトル戦に利用されるなど、
岩室屈指の格式ある老舗温泉宿なんです。

こういった敷居の高い宿に行けるのもこのイベントならではですね。

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そんな落ち着いた雰囲気に合わせてか? そこにあった作品は「つるし雛」という着物の作品。

作者が長野で見たつるし雛をモチーフにし、これまでの伝統的な飾りと、
さらにスカイツリーやパンダ、ギターなどの今も同時に描いたのだそうです。

次の小さなお宿「小松屋」の玄関にはいきなり15本の指が出迎えてくれました。

この作品「Yakushi」は、中心の親指が薬師如来、両脇の人差し指が日光・月光菩薩、
周りの小さい小指たちは十二神将、というイメージなんだそうです。

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折り返し地点の割烹旅館「皆元」には映像作品の「Charactars」があり、息子は釘づけ。

自分の内側にある性格やコンプレックスなどを外側に形として出し、
マスコットキャラクターのようにみせてみるのがこの作品のテーマなんだそうですが、
息子に意味がわかっているのだろうか?

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割烹旅館「松屋」の和室には、大きく白いクジラが浮遊する「ほのめく、然は然りながら」と、
何匹のかのエイが泳ぐ「回遊」という2つの作品のコラボが展示されていました。

「然は然りながら」は「それはそうだけど」という意味だそうで、
鯨に見えるモノは、見る人によっては鯨ではないかもしれないという、
見る人がここから空想を広げるきっかけになってくれればという願いが含まれているそうです。

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また「回遊」は、現代の生活にはあまり取り入れられなくなってしまった工芸品も
回遊魚のように環境に合わせて、変化していくことが必要だというメッセージがあるようです。

また、旅亭「松葉屋」に展示されていた、
オブジェで甦る現代の「落としもの」―新しい落語リテラシーの試み―は、
落語の持っている優しい脱力感を、お皿はや箪笥の引き出しに表現した楽しい作品でした。

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これで学生の作った最後の展示となりましたが、昨年7/14~12/24に新潟市全域で行なわれていた
「水と土の芸術祭2012」の作品も各所で再展示されていて、そこもスタンプポイントになっていましたよ。

相方へのお土産の「豆腐ぷりん」を買った「小富士屋」をはじめ、
「角屋悦堂」「岩室製菓」などのお菓子屋のウインドーには
そのお店を語る楽しいイラストが描かれている「uwabasmeets project」という作品。

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そして昔、理髪店だった室内には驚きの光景が!

突如目の前に現れたのは、畳の下のさらに土の中までむき出しとなった直径約3m、深さ3mほどの大きな穴!

この「根底 /Roots」という作品は、新潟の歴史の根底は足元にあるというメッセージだそうで、
日ごろ上ばかりを見ているボクらに何かを思い出させてくれるものでした。

これを案内してくれた人が、もう今日で最終日だし、これが終わったら穴を埋めてしまうので、
君たちで見るのが最後かもと言っていました・・・

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元スナックと思われる「アークヒルズ」という名の不気味な廃墟に入ると、
真っ暗の鏡張りの部屋に、伐採された桜の木がライトアップされていました。

現在、多くの人を魅了してきた多数の桜が老年期を迎え病気になってしまっています。
それを地元有志ボランティアが根気強く治療を行なっているそうです。

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その末、止むを得なく伐採することになってしまった、治療跡のある桜の木をここに展示し、
そういった社会活動があることを伝えた作品が
この「桜プロジェクト~郷土の自然をみつめなおす~」でした。

楽しい作品から、自分や社会を見つめ直すメッセージが含まれたものまで、
様々なものに出会え、これで前13ヶ所のスタンプをコンプリート!

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さてさて、どこの宿の温泉に入って帰ろうかなぁ~

と、言っても時間によっては入れるところは限られているみたいなので、
巡っている時に「入浴できます」と書いてあった「ほてる大橋」へ。

無色透明で無臭のやや塩味「ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉」に
散策で歩き回って疲れた身体を息子と一緒にほぐしました♪

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「岩室温泉」と「武蔵野美術大学」とのコラボ企画「アートサイト岩室温泉」。

・・・実は、「武蔵野美術大学」と言えばボクが卒業した大学なんです。

そう、これまで見てきたのはボクの後輩たちの作品になるんですよ。

ボクの在籍していた学校がバレてしまいましたが、
自分の後輩の作品が、この新潟の地の大好きな温泉街で見られるなんてとってもうれしいイベントですよ。

学生は息子がいるおかげか、気さくに話しかけてくれていい雰囲気だったし、
展示だけじゃなく、企画や運営、接客までやっていて、なかなか若いパワーをもらっちゃいました。

ボクが学生だった時って、ここまでパワフルだったかなぁ?

後輩を褒めるなんて手前味噌ですが、なんだか作品以上にいいものを見た気がします。

心身を癒す温泉と、心が豊かになるアートが融合した「アートサイト岩室温泉」。
2年後もまた楽しみです♪